はじめに

オンライン環境でも成果を出すには?

このような状況を打開することはできるのでしょうか?オンライン環境でも成果を出せるチームは、メンバー個々の意識やスキルの強化とともに、組織としての仕組みを整えています。上記の3つの課題に対して、具体的な取り組み例をお伝えします。

●定期的なコミュニケーションの「場」をつくる
問題発生の「予兆」をつかむためには、チームメンバーの間に定期的なコミュニケーションの機会をつくることが有効です。最近では「1on1ミーティング」と呼ばれる、定期的に上司と部下との間で行う1対1の対話の機会を制度化し、短い周期でコミュニケーションをする企業が増えています。

1対1であれば、会議の場などでは言いづらい個人的悩みや業務上の問題を相談しやすくなり、声のトーンなどからも体調やメンタルなどの状態を上司も察知しやすくなります。特に、新入社員や異動者など組織に慣れていないメンバーがいる場合、相談の場が設定されていることは、立ち上がりのつまづきを防ぐ意味でも効果的です。

●全員が周囲へのちょっとした気遣いをし、「安心感」をつくる
オンラインは情報の伝達には向いていますが、表情が見えにくく、感情を伝えたり、くみ取ったりすることが対面よりも難しいと言われています。他の参加メンバーへの気遣いや、反応を意識して言葉にすることが必要となります。

また、発言しやすいように、「心理的安全性」(他のメンバーが、自分が発言することを恥じたり、拒絶したり、罰をあたえるようなことをしないという確信をもっている状態)を作ることが重要です。「この場は自由に意見を言い合えるよう」「意見の違いを味わうつもりで」といった場のルールを設定したり、あらかじめアジェンダを伝えて、各自で考えを整理して集まったりするのも有効です。

●勇気をもって協力を依頼し、広い「ネットワーク」をつくる
オンラインコミュニケーションは使いこなせれば、今までにはない広い範囲のステークホルダーを巻き込みやすくなります。米国の社会学者であるグラノベッター博士の提唱する「弱い紐帯」にもある、つながりは弱くても広いネットワークを持つことで、新しいアイデアやイノベーションを生み出す可能性が広がります。

昨今、オンライン・コミュニケーションの認知が広まったおかげで、例えば、エリアの異なる部門との議論や社外の協力者への相談も可能となっています。ただし、協力を依頼する際には、それが相手にとってどんな意味を持つのか、自分の思いや利益だけでなく、相手の立場で考える必要があります。

ニューノーマル時代において、オンラインのコミュニケーションは避けることができません。対面でのコミュニケーションに慣れている人も、オンラインのメリットや使い方を理解し、どちらも使いこなせるようになれば、業務の効率は飛躍的に向上します。コロナ禍をコミュニケーション効率化のチャンスと捉え、オンラインで成果を出すチームの作り方を考えてはいかがでしょうか。

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