はじめに
運用は完全オーダーメイド
担当者は、顧客にどれくらいの利回りで運用したいか、どの程度のリスクを取って良いかなどヒアリングを行い、オーダーメイドでポートフォリオを作成します。
一般的にはそれぞれの金融機関で取り扱っている金融商品の中から資産の運用先を決定しますが、プライベートバンクでは資産の運用に関しては外部でも良い商品があれば、積極的にその商品をポートフォリオへ組み入れます。
富裕層向けのサービスのため、増やす事よりも資産保全(現在の資産の価値を下げないこと)を目的とすることが多く 、株式、債券、不動産、金等様々な資産へ分散投資します。
「現金でもっておけば資産は減らないのでは」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、インフレになれば現金だけでは資産価値が減ってしまいます。単一の通貨のみで運用していれば、保有通貨の下落によっても資産の価値が下がってしまうかもしれません。
なぜ富裕層に限られるのか
プライベートバンカーには豊富な知識や経験が求められ、一人前のプライベートバンカーを育てるには、最低でも15年から20年はかかると言われています。
数少ないプライベートバンカーできめ細かいサービスを顧客へ提供するには限界がある為、口座開設の審査の際に預入金額の下限を求めるなど様々な条件が設定されています。
銀行や証券会社の運用担当者は若手が中心
現状、国内の銀行や証券会社で、優秀な営業マンは30代半ば位から人事ローテーションで 管理職になってしまうケースが多く、そのため個人顧客の運用担当者のほとんどは、経験10年以内の若手が担う事が多くなってしまいます。
金融業界に20年以上いる私が知る限り、金融機関に入社する前から資産運用に関してきちんと勉強し、自身で運用などを行い、経験を積んでいる運用アドバイザーはほとんどいません。大部分の金融機関の若手社員は、金融商品を販売しながら知識を深め、お客さまの資産運用を行う事でリスク資産の運用経験を積んでいきます。
そのような経験を積むことに加え、自分自身のライフイベントでも結婚、出産、近親者との死別など様々な人生経験を積み、それをもとに顧客へアドバイスができるようになり、初めて一人前の担当者となります。一人前のプライベートバンカーを育てるには時間がかかると言われているのはそのためです。
転勤がなく、長期的に担当してくれる職種として大手証券会社にFA(ファイナン シャルアドバイザー)という職種がありますが、顧客が事前にFAのキャリアを確認し、担当者を選ぶことはできません。