はじめに

夫はどっちつかずの態度で

夫に訴えても、「かあさんはオレたちを助けてくれてるんだよ」と言うばかり。あたかもカホリさんがワガママであるかのように見ていました。

「しかたがないので、私の分の洗濯物は袋に入れてクローゼットに隠し、少したまると夜中に洗濯していました。義母には、私の洗濯はしなくていいです、と言って。夕飯も、私の分はいりませんというしかなかった。帰ってからこっそり作っていたら、義母が夫に言いつけてケンカになったりもしましたが、この家庭を義母の色に染められたくなかった」

家賃の支払いや光熱費などは夫の口座から払うため、食費も含めて生活費を計算、その4割をカホリさんが夫の口座に振り込むという形をとっていました。義母が来た当時、カホリさんは夫に「お義母さんからも生活費を少しもらって」と夫に言ったのですが、夫がそれを義母に告げたかどうかはわかりません。
同居から半年ほどたったとき、義母がふと言いました。

「カホリさんはお給料、いくらもらってるの、と。私がなぜそんなことを聞くのかと問うと、『あなたも私に預けなさい。ちゃんと管理してあげるから』って。夫は給料を全額、義母に預けてそこからお小遣いをもらう方式にしていたそうです。そんなことひと言も私は聞いてなかった」

いい機会だから、家計について、また生活全般について3人で話しましょうとカホリさんは提案しました。ところが義母も夫も、この話に乗ってきません。それどころか、義母は毎月、「あなたの銀行のカード、預かるわよ」と言ってくる始末。悪気がないところがかえって怖かったそうです。

「私は前から出している生活費に加えて、自分だけの食費もかかる。もうそのころはお総菜を買ってきてご飯だけ炊くようにしていましたけど、義母は『これくらい食べなさいよ』と、自分の作った煮物などを目の前に置くんです。でも味つけが濃いし、私は食べたくない。すると『あれこれ好き嫌い言ってると罰が当たるわよ』と言い出す。ほとほと疲れました」

家を出る選択

同居から1年、新婚1年半で、カホリさんは家を出てウィークリーマンションに“避難”しました。すると義母から電話があり、「私だけじゃなくて、息子のことも見捨てるのね」と叫ばれたそう。最後は「私が死ねばいいんでしょ」とまで言われ、1度だけ家に戻ったそうです。

「そこで、同居がイヤというよりは家庭を支配しようとするお義母さんが苦手だとはっきり言いました。すると夫は『妻の代わりはいても、母親の代わりはいない』と。その一言はなるほどと思ったので、じゃあ、代わりを探してねと。未練はありませんでした。母親の前でかっこつけた夫は、その後、『別居なら戻ってきてくれる?』『どうしたら機嫌を直してくれる?』と未練がましいメッセージをしつこく送ってきました。どちらにもいい顔をしたいのが見え見え、ふざけるなと言ってやりました。すごくスッキリしましたね(笑)」

あっさりひとり暮らしに戻って1年、共通の知り合いから聞いたところによると、夫はあの部屋の家賃の負担が大きかったため、母とともに別のアパートに引っ越したそうです。

「私の結婚生活、何だったんだろうと今でも思いますが、私も同居するかどうかの時点できちんと拒めばよかったのかもしれません。あの状況では拒否できなかったとは思うけど」

反省してもしかたがない、反省より前を見て進むだけとカホリさんは笑顔を見せてくれました。