はじめに

ベルギーで1週間に交流できる人数は10人まで

ベルギーでは外出制限解除以降、1週間に交流する人の数も制限されています。外出制限直後は、家庭や職場など日常的に行き来し合うの人数が、10人までとされていました。その後15人に増えたものの、夏季休暇シーズンの感染者増加を受け、8月いっぱいまで1週間の交流人数を最大5人とする大変厳しい規制が、7月29日から適用されています。例えば2人暮らしで、職場のオフィス(個室)に同僚が3人いる場合、合計5人となりもう定員です。

6 アントワープアントワープ市内

この規制は各自の良識ある行動に委ねられており、罰金や見回りはありませんが、人々は国家安全保障理事会が定めたこの規制を重く捉えています。ベルギーの放送局RTBFが7月29日に報道した、アントワープ大学が行った37,000人のアンケート調査結果によると、87%が「8月の予定をキャンセルする」、70%が「家族の集まりの日取りを変更する」と回答しています。

フランスではこの交流人数の制限は取り入れられていませんが、ベルギーの後を追う形で過密エリアでの屋外のマスク着用が8月10日から義務付けられました。同じヨーロッパ内の隣国同士であっても規制は一律ではなく、と同時に、他国の例を参考にしあいながら、新型コロナウイルス対策に取り組んでいることがわかります。

※追記 8月28日8時以降、パリ市は屋外を含む全公共空間でマスク着用義務になりました。

ローカル線での国境越えは飛行機よりも簡易

7月中旬、パリからスペイン北東部サン・セバスチャンへ移動した、パリ市在住のイギリス人男性に体験談を聞きました。パリからバスク地方ヘンダイ駅まではTGVで4時間程度。そこからローカル電車に乗り換え国境を越えて、サン・セバスチャンへ入ります。

彼は、フランス国外へバカンスに行きたいながらも、飛行機は利用したくなかったそうです。なぜなら窮屈な飛行機を利用することの不安と、万が一国境封鎖された場合の距離の不安があったといいます。鉄道で移動可能な場所であれば、突然の国境封鎖にも対応できると思い、フランスとの国境の町サン・セバスチャンを選びました。

ローカル電車での越境は、まるで地下鉄に乗っているように簡単だったそうですが、飛行機で入国する場合は記入書類がある他、体温が37.5度を越える人は空港で健康診断を受けるなど、状況が変わります。

「ローカル線に乗り換えた時も、越境の際も、パスポートコントロールやPCR検査はなかった。現地のホテルやレストランの従業員によると、フランスからの日帰り旅行者は多いらしい。観光はしたいがホテル利用は避けたい、という傾向がみられるそうだ。フランスよりも過酷なコロナ危機体験をしたスペインは、バーでもビーチでも、意識的にソーシャルディスタンスを確保していると感じた」とイギリス人男性は国境越えの体験を述べます。

このイギリス人男性は、英仏間の国際列車ユーロスターを使い来仏する父親を迎える準備もしていました。しかしキャンセルしたそうです。なぜなら8月15日以降、イギリスはフランスからの渡航者を14日間、隔離することになったからです。

「父には旅行を諦めてもらった。この展開は想定内だった。父は77歳と高齢なので、今は移動を控えたほうが安心だと何度も伝えていた。それでもパリに来るというので、20代の子供が2人いる我が家には泊めず、かわりに客室数の少ないブティックホテルを予約し、家族全員PCR検査を済ませておく予定だった」とイギリス人男性は答えます。リスクの少ない滞在先と移動手段を選び、行政の判断には速やかに従った形です。

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