はじめに

中国の内需振興の進捗は米中関係次第

7月の中央政治局会議では、10月に重要会議である5中全会を開催し、来年よりスタートする次期5ヵ年計画を策定することも表明されました。このタイミングで、構造改革路線への転換も表明されたということは、次期経済計画の中で、内需振興が一つの柱となる可能性が高いことを意味していると筆者は考えています。

この内需振興に向けた動きに進展があれば、政策支援の対象が軽工業やインフラ関連産業といった伝統的なものから、半導体やソフトウェア開発などのハイテク産業へ変化する可能性が高く、中長期的な投資テーマとして意識されるでしょう。

ただし、ここで忘れてはならないのは、米中関係という最大の不確実性が存在することです。

米国が対中強硬姿勢を強める要因は複数ありますが、そのうちの1つは中国ハイテク産業の急速な発展とそのハイテク技術の軍事利用などへの懸念です。米国はこうした懸念への措置として、中国向けハイテク部品の供給を制限する姿勢を見せています。中国のハイテク産業が必要とする部品、特に半導体は、内部開発と生産体制が整っていないとされ、この供給が断たれてしまうと、産業の興隆はかなりの時間が必要となり、中国当局の内需振興路線の大きな壁となります。

今年は、中国では秋の5中全会、米国では11月の大統領選と、両国で重要な政治日程があります。前述のような状況にあるため、中国側から対米姿勢を強硬にし、ハイテク分野への規制を誘発する可能性は低いと考えますが、米国側は政治的な理由も含め、強硬姿勢を示す動機が強い状況です。

米国にとって、中国向けのハイテク規制は強力な外交カードであり、使いどころを検討しているものと思われます。この動向に、中国の構造改革の進捗が左右されること、そして資産市場も大きな影響を受けることを覚えておく必要があるでしょう。

<文:エコノミスト 須賀田進成>