はじめに
家事・育児にやりがいはあるか?
家事や育児に専念している期間を「ブランク」と呼ぶように、世の中には家事・育児のことを外で行う仕事より下に見る風潮があります。
もし、家事・育児を「程度の低い仕事」のように捉えてしまうようだと、気持も入らずイヤイヤ取り組むことになりそうです。しかし、座談会では家事の中に達成感を見出しているという声が聞かれました。
「その日に行う家事のタスクを洗い出して、効率よく終わらせていく。エンジニア職は比較的タスクが多く期限も設けられているので、段取りを考え効率よく行うのと似ているし、それが達成感にも繋がります」
外で行う仕事にも、難易度が高いものから低いものや、楽しく取り組めるものとそうでないものなどがあります。しかし、どんな仕事でも役割として任せられたからには、効率と生産性を考えて取り組むはずです。そして真剣に取り組めば取り組むほど、やり遂げた後は達成感が得られるものです。
家事・育児は、自ら主体となって行うべき家庭内の役割であり、それによって家族みんなが楽しく暮らすことができるのであれば、それだけで真剣に取り組むべき理由として十分なのではないでしょうか。
自分が“主体”とはどういうことか?
家事・育児と同様に、家計を支えるために稼ぐ収入確保も、本来は夫婦ともに主体者です。夫が稼ぐことに専念し、妻が家事・育児に専念する家庭を専業主婦世帯と呼びますが、それは夫婦間の役割を指しているに過ぎません。何らかの事情で夫が働けなくなれば、妻が稼ぐことに専念することもあるはずです。逆に、夫が家事・育児に専念することだってありえます。
夫婦間の役割の“ちょうど良いバランス”はその家庭ごとに異なります。稼ぎと家事・育児を半々にするのがちょうど良い家庭もあれば、妻が稼いで夫が専業主夫となるのがちょうど良い家庭もあります。座談会参加者の中には、家事・育児を平日は妻が担当し、土日は自分が担当している夫がいました。
「平日は妻がメインでやってくれているので、土日の家事・育児は自分が担当だと思っています。でも、土日も一緒に手伝ってくれるので、妻は完全に休めている訳ではありません」
妻が“手伝ってくれる”という言葉が自然と出てくるところに、自らを家事・育児の主体者だと認識していることがはっきりと表れています。
稼ぎと家事・育児のバランスは、ライフイベントなどがある度に変化していくものです。時折ご夫婦で話し合い、今のバランスがベストなのかを確認する必要があります。そうすることもまた、共に家庭運営の主体者である夫婦双方にとって大切な役割なのだと思います。