はじめに
サブカル好きだけではない広がり
「いのちの輝き君」は、サブカル好きだけでなく、いろんな人がいろんなネタで遊んだため、多くの言葉がTwitterのトレンド入りしました。多様なバックグラウンドを持つ人たちに受け入れられたのでしょう。
あと、「作為が無いように見える」ロゴだったのも大きかったと思います。どこまで(意識的に)仕掛けているのかは分かりませんが、ある種の「失敗した」キャラにも見えますよね。素人からすると「コレを万博を代表するマークにするのか……」と突っ込みたくなる。大阪流のボケのような感じすらしました。
ゆるキャラとの共通点
――確かに「不気味」などの批判もあったくらいですよね……。
岡本:この構造は、「ゆるキャラ」に似ています。ゆるキャラはもともと、自治体にいた「全く作為の無いキャラ」でした。そこにみうらじゅんさん(※「ゆるキャラ」の名付け親)が目を付けてどんどん掘り起こし、注目されるようになった。
岡本:今回のロゴも、そうした「ゆるキャラの再発見」に近い気がします。これも(王道を)外しちゃっているキャラな訳ですが、我々はこうした外しているモノの楽しみ方を既に知っている。
例えば、「ふなっしー」や「せんとくんも」明らかに(当時の人気キャラの)文脈からは外れていて、ぶっ飛んでいた訳です。今や、北海道北斗市の「ずーしーほっきー」(※ホッキ貝の握りずしに手足が生えている)や夕張市の「メロン熊」(※頭部がメロンと合成しているクマ)など、ゆるキャラも気持ち悪い、怖い方向で工夫し、外しにかかっている物が多くなりました。
特に、大阪万博というでっかい舞台で、この「いのちの輝き君」を取り上げた点は大きかったと思います。ゆるキャラはその地方の顔ですが、こちらはまさに「万国博覧会」の顔。普通は「世界から見て恥ずかしくない」モノにするでしょう。オリンピックなどがまさにそうで、無難なロゴに落ち着いてしまう。