はじめに

ESG投資のメリット

もっとも、ESG投資の普及に先駆けて、グローバル展開する企業は環境や人権に配慮した経営を行っています。例えば、キットカットを販売するネスレは、プラスチックごみを出さない菓子包装や、児童労働を伴わないチョコレート原料カカオの調達等を実施しています。こうした企業は消費者や従業員とも良好な関係を築くことができ、それが企業への信頼・ブランドとなって商品の販売増に繋がり易いでしょう。

また、企業の長期にわたる経営において、経済環境や規制、労働環境、消費者の嗜好などに変化が生じることはリスクですが、ESGに取り組む企業はこうしたリスクを考慮した経営を行っています。

市場では、ESG投資家が長期視点から企業を選別するため、一時的な企業業績の悪化などで投資対象から外されにくく、長期的に安定した資金流入やリターンが期待できるでしょう。さらに、ESG投資は企業の社会的課題解決を後押しすることになり、社会貢献に繋がる投資であるとも考えられます。

GPIF選出のESG指数は市場平均を上回る

個人にできるESG投資として、まずはESG債があげられます。調達資金を環境分野に使う「グリーンボンド」、健康や教育問題の解決に使う「ソーシャルボンド」、両方を対象とする「サスティナビリティボンド」があります。投資家にとって、定期的な利息と元本返還がある点で通常の債券と同様の投資対象といえるでしょう。

より投資リターンを期待するならば、投資信託やETFへの投資が有効です。ESG優良銘柄に特化した投資信託であれば、運用会社が独自にESG要素で評価した銘柄を選出し、投資先としての採算性も考慮したバランスの良いポートフォリオへ投資できるでしょう。このほか、日本の年金資金を長期に亘って運用するGPIFが投資するESG指数(ETF)も注目されます。

GPIFが選定した5つのESG指数は、2020年3月までの3年間のパフォーマンスが全ての指数で親指数及び市場平均(国内株はTOPIX、外国株はMSCI ACWI(除く日本))を上回りました。必ずしもプラスのリターンが確約されているわけではありませんが、市場全体が下落する局面で、ESG関連指数は相対的に小幅な調整にとどまる傾向もみられています。

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