はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は深野康彦氏がお答えします。

海外在住の父母(父72歳、母66歳)がいます。オーストラリアと香港の永住権を持ち、メルボルンに持ち家がありますが、老後をどちらで過ごすか迷っているようです。オーストラリアで暮らす場合は、年金のほか、私からの月々の援助を期待しています。その際は、遺産としてその家を相続させると言っています。


一方、香港で暮らす場合はメルボルンの家を売り、そのお金で一時金を支払い、香港でマンションを買うことを考えていますが、その際も私にその後のローンを背負ってほしいと考えているようです。こちらの場合もいずれ相続することになるでしょう。


将来的な海外投資として考える際に、どちらがいいのか迷っています。父母の今後を考えると、公的な医療保険制度がない香港よりも医療保険がややしっかりしているオーストラリアの方がいいかもしれません。アドバイスがありましたら、ぜひお願いいたします。
(40代前半 既婚・子供なし 女性)


深野: 海外で暮らしているご両親の老後生活、並びに相続等についてのご質問ですが、考慮すべき点は大きく2つに分けることができるでしょう。

永住するつもりがあるかどうか

ひとつめは、ご質問者の方は将来、海外に永住を希望されているのかどうかです。

海外に移住してもよいとお考えならば、オーストラリア、香港どちらがよいのかを選択すること。海外に永住するつもりがないのであれば、将来相続する海外不動産をどうされるのかを考えることです。

オーストラリアと香港、どちらを両親が選んだとしても、質問者の方からの援助を期待され、将来的には相続で海外の不動産を受け取れると思われるからです。

永住するつもりがないのであれば、相続した海外不動産を保有し続けて賃貸に出すのか、あるいは売却してしまうのかも考えるべきでしょう。

賃貸に出すのであれば、どれくらいの収益が期待できるのか。売却する場合は、どちらの国の不動産の流動性が高いのかを比較するべきでしょう。同時に賃貸に出した場合、売却した場合の課税関係がどうなるのかも調べたほうがよいでしょう。

ご両親の立場に立って考えること

ふたつめは、ご両親の立場に立って考えることです。ご両親がどちらの国で過ごされたいのかに加えて、医療制度、日常の生活の便利さ、快適さなども比較されるとよいでしょう。

また、終活も考慮しなければなりません。大病をしたときに、どのような治療を受けたいのか、その受け入れ施設が整っているのかなどのほか、最終的に亡くなった場合のお墓をどうするのかも考慮しなければなりません。

加えて、万が一、父親、あるいは母親のどちらかが先に亡くなった場合に残された親はどうやって生活していくのかも考える必要があります。

ざっと考えられることを書いてみましたが、これらのことを考慮した上でどちらの国がよいのかを判断されるべきでしょう。

慌てる必要はないと思われますので、じっくり判断した上でご質問者の方、ご両親が納得できるまで話し合いを重ね、最終的な結論を出すようにされてください。