はじめに

印象は対面でも変わる

これはオンライン会議だけではなく、対面時でも同様です。男性の肌を研究する同社の山口あゆみさんは「マスクをすると目にフォーカスがいきます。だからこそ目周りのシワやクマが余計に目立つのです」と説明します。

先ほどの中村さんも「目は重要なコミュニケーションパーツ。とくにアジア系の人々は相手の感情を目から読み取ろうとする」と指摘します。つまり、口元が隠されている今、目はことさら重要な意味をもっている。まさに「目は口ほどにものを言う」とはこのことです。

すでに浸透し始めているメンズメイク

筆者は5年以上前から「メンズメイク」時代が到来すると言ってきました。2018年、ポーラ・オルビスグループから日本発の本格的メンズコスメブランドである「FIVEISM × THREE」が発売され、同時期にシャネルからファンデーションやアイブロウなどを揃えた「ボーイドゥシャネル」もンラインで発売開始しました。それが2年前です。

マンダムも、ミドル男性に特化したブランド「ルシード」で、シワなど特定のトラブルに対応するスキンケアや、メンズメイクを勧めています。

近年、資生堂のメンズブランド「UNO」が出した男性用オールインワンのスキンケアが大ヒット。肌の色ムラを解消するアイテムも登場しました。さらに男性用の本格的なBBクリームも売れています。

さらにデパートコスメである「ラボ シリーズ」には、肌の色味を整えて“インスタ映えする”と話題になったインスタントモイスチャラーザーというアイテムもあります。発売してすぐに欠品になったというほど人気で、男性の肌の色ムラに対する意識が変わってきたことの証拠です。

コロナ禍で男性の美容意識は変わるか

メイクと聞くと、中年以上の保守的な男性は「自分には関係ない」と拒絶してしまう人も多いと思います。しかし、そのかたくなな姿勢は世の中の動きとは逆行しています。

大学生の中にはコンビニに行くのにも「スッピンで外を歩けない」という男性もいますし、瞬時に好印象を得られるというメイクの持つメリットを認識し、ビジネスの場面で実行している男性たちも多くいます。それをあえて人前で語らないだけなのです。

自分の見た目に対する危機意識を、このコロナ禍で養えるか否かで、事態が収束してコミュニケーションが元に戻った時に、大きく見た目の差がついているのかもしれません。

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