はじめに

「逆質問力」を発揮して、ハートを撃ち抜け

そして、面接の最後に、「何か質問はございますか?」と、面接官の私から確認することがある。すると、採用候補者からの最も多い回答というのが「特にありません」である。その意味を噛み砕くと、「すでに散々話を聞き尽くして、十分に御社のことは理解しているし、その上でこの面接に臨んでいるのだから、もはや質問などない」ということらしい……。

たしかに、ここに至るまでに、さまざまな検討を重ねて決断したのだろうから、この期に及んでさらなる質問を絞り出す必要はないのかもしれない。

しかし、面接官は単に、「あなたの疑問」を晴らしてあげるためだけに聞いているのではない、という意図を察しておくべきである。

質問しない相手に対して、面接官の私はそこに、底の浅い軽薄さ、組織に対する無関心さ、業界への研究心の薄さ、新しい仕事に臨む熱意の低さ、面接官の期待を裏切る感受性のなさなどが垣間見え、一気に評価を下げたくなる瞬間でもある。

それこそ、どうしても入社したい会社であって、本当に好きで好きでたまらない組織であるなら、質問は永遠に尽きないはずである。貪欲にあれもこれも知りたくならなければおかしいではないか。それが普通である。企業側もそんな情熱的な人材を採りたいのだ。

一方で、福利厚生面の確認やホームページに記載されているような低レベルな質問が飛び出してくることもある。何かしら質問しなければいけないと焦って、つい口に出してしまうのかもしれない。そういう意味では、「質問すること」を意識している分だけ、何も質問しない人よりは”まし“であるともいえる。

どちらにせよ、質問を舐めてかかってはいけない。「質問のための質問」だと面接官に感じさせてしまったらマイナスだ。この場面は、面接のクライマックスシーンである。面接官を唸らせる気の利いた質問の二つや三つは、用意周到に考えておかなければならない。

最もさすがだなと思える質問は、面接中のやりとりから「新たに導き出された疑問」である。そこに、あなたの踏み込んだ意見が添えられていたなら評価はググッと上がる。

これこそが、コミュニケーション力の真髄だ。ありきたりの定番な質問では、情熱はアピールできない。あなたの“逆質問力”を大いに発揮して、面接官のハートを撃ち抜こうではないか!

転職の鬼100則

早川勝 著(明日香出版社)

転職の鬼100則

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