はじめに

新型コロナウイルスの感染拡大によって消費は大きく落ち込みましたが、9月の4連休は人出が増えるなど、消費は徐々に持ち直しつつあるようです。これまでコロナ禍で、旅行や外食などの外出型の消費が大幅に減る一方、食事やゲーム、家具などの巣ごもり消費が活発化していましたが 、その後どのような状況になっているのでしょうか。また、一律10万円の「特別定額給付金」は給付されたものの、雇用環境が急速に悪化していることで、家計収入に陰りも見えてきたようです。

総務省「家計調査」を中心に、足元の家計消費の状況を見ていきましょう。


回復傾向の家計消費

まず、家計消費全体の状況を確認しましょう。家計消費全体の水準を示す「総消費動向指数」を見ると、今年4月(88.3)や5月(87.3)は、リーマンショック(最低値は2009年2・3月の93.6)を上回る落ち込みを示しました。しかし、経済活動が再開された6月(94.9)や7月(97.2)は、「特別定額給付金」が消費に使われたことも影響し、大幅に改善しています。

消費の内訳にも変化が見られます。これまで巣ごもり需要で増加していたものは伸びが鈍化し、外出が控えられていたことで減少していたものは回復に転じています。

例えば食事の面では、外食が減り家での食事が増えたことで、出前やパスタ、アルコール類、生鮮肉など食材の支出額が全体的に増えていましたが、4・5月をピークに6月は増加率が低下しています(図1)。一方で、外食は6月以降、回復傾向にあります。

1_二人以上世帯の食料の支出内訳(対前年同月実質増減率)

旅行やレジャーも回復傾向にありますが、種類によって温度差があります。

旅行では、宿泊料が7月には前年同月比で約4割減まで戻りましたが、パック旅行費は約9割減にとどまり、3月よりも未だ低水準です(図2)。コロナ禍の現在は、自家用車で近場へ出かけて、宿泊施設だけを利用する「マイクロツーリズム」に回復の勢いがあるようです。一方で、10月から政府の消費喚起策である「GoToトラベルキャンペーン」の対象に東京が追加されることで、パック旅行の回復に勢いがつく可能性があります。

図2 二人以上世帯の宿泊料とパック旅行費(対前年同月実質増減率)

レジャーでは、美術館や博物館などの文化施設入場料は▲57.5%まで回復しましたが、遊園地入場料・乗物代は▲71.1%、映画館・演劇等入場料は▲85.2%にとどまります。文化施設は、緊急事態宣言解除後に早期に休業要請が緩和されたことや、もともと密になりにくく、会話の少ない環境であることが影響しているのでしょう。

一方で、教養娯楽面では、巣ごもり需要でゲーム機の購入が増えたり、テレワークでパソコンの購入が増えていました。ゲーム機は3月の全国一斉休校となった3月(+165.8%)、パソコンは緊急事態宣言が発出されてテレワークで働く人が一気に増えた4月(+72.3%)をピークに支出額が増え、6月(ゲーム▲6.6%、パソコン+18.1%)は伸びが落ち着いた状況にありました。しかし、どちらも7月(+40.3%、+129.1%)に再び増加しています。

これは「特別定額給付金」の影響と考えられます。総務省によると、7月末までの給付率は96.8%にのぼります。7月は全国的に感染が再拡大し、在宅勤務によるテレワークの定着化も進む中で、少し値の張る耐久財を買い揃える消費者が増えたのでしょう。なお、7月は一般家具(+130.7%)の支出額も伸びています。