はじめに
材料メーカーで追い風が吹くのはどこ?
High-k材料メーカーとしてはトリケミカル研究所(4369、東1)が有名ですが、顧客ごとにサプライヤーが異なり、サムスン電子向けではADEKA(4401、東1)がトップサプライヤーです。
同社は韓国にR&D拠点を有して顧客と連携しており、この新素材については当面、単独供給することになりそうです。また、そもそもHigh-k材料はハイマージンですが、この新素材は単価が高いため更なるマージン向上も期待されます。
フラッシュメモリの高集積化
フラッシュメモリは不揮発性メモリの一種です。電源を切っても記憶が失われないことから、データセンターなどのほか、身近なところではUSBメモリでも使用されています。フラッシュメモリの構造は容量を増やすために平面ではなく3次元になっており、最先端のものでは100層程度の高集積化がなされています。
この恩恵を受けるメーカーとしてラサ工業(4022、東1)に注目しています。ラサ工業は半導体の窒化シリコン(SiN)膜のエッチング用の高純度リン酸のサプライヤーです。高集積化されたフラッシュメモリではSiN膜も層数だけ積層されるため、その分エッチング工程も増えることになります。高純度リン酸で市場シェア3~4割を有するラサ工業には追い風と考えられます。
<文:企業調査部 主任研究員 石橋克彦>