はじめに
リモートワークなど多様な働き方が広まるなか、さまざまなツールを介しても、きちんと伝えられるコミュニケーション力が求められています。
日本IBMや日本マイクロソフトで役員を務め、現在は様々な企業の取締役として経営アドバイスを行う佐々木順子さんは、コミュニケーションは「努力しだいで上達することができる」といいます。
具体的にどのようなことを心がけたらよいのでしょうか。著書『「あなたにお願いしたい」と言われる仕事のコツ88』(ぱる出版)から一部抜粋して紹介します。
ロジカルにはロジカルを、情熱には情熱を
コミュニケーションは技術・スキルです。決して資質の問題ではありません。努力しだいで上達することができますので、生まれながらのコミュニケーション下手、ということは絶対にありません。
メッセージを伝えたい相手に、いかに効果的かつ確実に伝えるか。それがコミュニケーションのスキルです。なお、実際には、「伝える」と「伝わる」は別ものです。伝えたかどうかではなく、伝わったかどうかだけが問題となります。
伝わるかどうかは、伝えるためにどれだけ努力をしたかにかかっていますから、伝わらなければあなたの努力不足ということになります。では、「伝わる」コミュニケーションのためには、どんな努力をすればいいのでしょうか。
私の観察では、人は人を説得する方法で説得されやすい傾向があるようです。徹底的にロジカルに説得してくる人には、ロジカルに対応する。情熱的に訴える人にはこちらも感情をこめて説得する。
こんなふうに、相手のキャラクターを見極めて、コミュニケーションの手段や方法を検討する練習が必要です。ただし、練習を重ねてスキルがあがっても、決して独りよがりにならず、伝わったかどうかをその都度相手に確認しましょう。
あまりにも話すことに一生懸命になってしまうと、相手の反応に気がつかないこともあります。途中で、「ここまで大丈夫ですか」とか、「いままでのところでわからないところはありませんか」などと、適切なタイミングで確認をはさんだり、話しながら相手のボディランゲージを読み取ったりすることも大切です。
きめ細かく相手の反応を見ながら伝えるのも、コミュニケーションの技術の一つ。コミュニケーションはとても奥深いものです。よりよいコミュニケーションのために、練習を重ねていきましょう。