はじめに
相手と情報レベルや言葉をそろえる
コミュニケーションにおいては、相手と情報を共有する必要があります。そのために、相手と「そろえて」おくべきことを二つ、お伝えしたいと思います。
1点目として、「相手との情報レベルをそろえる」こと。上司に報告をする際にも、本題に入る前に、その話題の前提となる背景や状況などについて、ひとこと説明を加えます。
「この件は、こういう状況が背景にありますのでこうなっていましたが、じつは…」などと説明しておくと、上司がたとえ知っている情報であっても、スムーズに記憶を呼び戻すことができ、すんなりと本題を理解することができます。
自分がいま考えていることを、上司も考えているとは限りません。自分にはタイムリーな話題でも、上司にとっては遠い記憶の中の話かもしれません。時間短縮のためにも、情報のレベルをそろえるひと手間をかけるようにしましょう。
2点目としては、「相手と言葉をそろえる」ということ。
たとえば、業界用語で「CX」という略語を使うことがあります。少し前までは、「Customer Experience」(顧客が体験する価値)の略として使われていたのですが、最近では、「Corporate Transformation」(企業変革)の略として使われることがあり、お互い違う意味で理解していたということが実際にありました。
ほかにも、「CMS」には「Cash Management System」(企業グループ全体の資金状況を管理するシステム)と、「Contents Management System」(ウェブサイトの制作・管理・更新システム)という二つの意味があるので注意が必要です。
相手の理解を確認しながら進めることはもちろん、あまりにも特殊な用語を使わない、やたらと英語交じりの言葉を使わないということにも気をつけましょう。
自分たちの業界用語よりも、お客様の業界用語を使うようにしてください。たとえば銀行などの金融業界は特殊な用語の多い世界です。「現金」や「現物」という言葉の意味が、お客様によって異なっている場合もあります。
この2点は、相手への想像力の一環です。時間のムダや取引上の事故を防ぐためにも、相手の立場に立って言葉を使うようにしましょう。