はじめに

クラフトビールと地ビールの違いは?

日本では、クラフトビールの明確な定義が存在しませんが、米国の業界団体「ブルワーズ・アソシエーション」では以下のように定めています。

大手メーカーから独立したビール作りをしている。②1回の仕込み単位が20kl以内で仕込み、作っている人の目が直接届く。③伝統的な方法・地域の特産品などを原料にした個性あふれるビールを作っている等の3点です。

日本ではクラフトビールと地ビールは同義で使われるケースが多いですが、地ビールはお土産の要素が強く、その土地の特色をアピールしているように感じます。一方のクラフトビールは小さい規模で作っているビールを工芸品=クラフトに例え、職人のこだわりや個性が入っています。

価格相場に縛られないメリット

身近なスーパーでも手に入るクラフトビールとして、ヤッホーブルーイング(本社:長野県軽井沢町、代表取締役社長:井出直行)の販売する商品があります。何種類か試飲しましたが、大手ビールと比較して、フルーティーな飲みごたえのものや苦みが強いものなどまさに、個性豊かな味わいを感じました。通常のビールより価格が高いので特別な日のちょっとした贅沢をするニーズを上手く取り込んでいるようです。

通常のビールはだいたいこのぐらいの値段と、世間の持つ相場観があります。一方、クラフトビールは高いというイメージがあるため、飲食店での提供価格はお店の裁量によるところが大きいです。
例えば、ワイングラスのような容器で提供し、クラフトビールに合う専用料理やおつまみを出して、客単価の上昇に繋げるという提供の方法です。価格を少し高めにしても、美味しさを知れば消費者も納得するはずです。

ビール好きの若者を育てる

飲料各社の長期的な課題が収益性向上です。昨年、国内の清涼飲料のうち、大型PETボトルを値上げしました。1社が先行的に行ったことで他社も追随しており、20数年ぶりの出来事でした。お酒も同様に収益性を追うようになっています。

アサヒグループホールディングス(2502、東証1部)は2019年からビールの販売数量の公開をやめました。数量を追うことで収益性が犠牲になるのを防ぐためとしています。この点も、クラフトビールに活用余地があると考えます。

飲酒量やお酒購入時の意識は、若者ほど新しいお酒へのチャレンジ意欲が高く、銘柄を指定して買わない傾向が明らかになっています。銘柄に固執しない若者はチャレンジ精神が旺盛である半面、これだというビールに出会っていないとも考えられます。

ビールを今までと違ったイメージを作り出す方法としてビールのプレミアム化を狙った戦略があります。これは国内のみならず、海外でも進めている戦略となっています。若者にビールとの新しい接点を増やすことで、今後のビールを嗜好する人を育てることに繋がることに加え、収益性の向上にも繋がります。

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