はじめに

誰でも思いつく抜け穴を官僚は見落とした?

このような制度の”抜け穴”といえば、ふるさと納税の高額還元問題が記憶に新しいでしょう。しかし、そのふるさと納税であっても、施行後数年はそれほど問題点や抜け穴が浮き彫りとならない状態で運用されていました。

しかし、GoTo における抜け穴は、制度が始まる前から、誰でも思いつくような状態で放置されており、異例であると言わざるを得ないのかもしれません。

その背景には、官僚が穴を見つけても指摘しにくい環境にあるからかもしれません。新総理となった菅氏は、自民党総裁選の9月中旬に、内閣人事局の見直しについて、政権の決めた方向性に反対する幹部の官僚については「異動してもらう」と強調。2日には”学者の国会”とも言われる日本学術会議では、設立以来首相が推薦された6名の任命を見送りとし、物議を醸したこともあります。

ふるさと納税についても、当時総務省自治税務局長であった平嶋彰英氏が官房長官時代の菅氏にふるさと納税の問題点を指摘した翌年に、自治大学校長へ異例の異動となったとされています。これらの行動が、官僚の指摘を萎縮させている可能性があるのではないかと考えられます。

急を要する状況下においては、スピーディな政策実行と給付が求められていることは確かです。しかし、その制度に欠陥があれば、本来支援するはずであった飲食店や旅行業者に給付が行き渡らず、予約サイトなどといった事業者や、倫理的に褒められない利用者の懐を肥やしてしまうことになりかねません。

政官での真摯な制度設計のやりとりこそが、実効的な政策運営に求められてくるのではないでしょうか。

<Finatext グループ 1級FP技能士 古田拓也>