はじめに
受験パターンが複雑化
受験生からすると、こうした入試回数の増加は、チャンスが増えるというプラスの面があると同時に、受験パターンを決めるのが悩ましくなるという面もあります。
一人の受験生の平均出願は7回と言われています。2月1日に入試が解禁になる東京、神奈川では、1日から5日ごろまでの間にほとんどの入試が行われます。この間に、どのようなパターンで受験日時を組み込むか、判断はなかなか難しく、こうなるとやはり塾の先生のお知恵を拝借するほかはありません。
学校にしても、複数回の入試はすべて別の問題とするわけですから、作問の負荷も大変なものです。プレゼンテーション入試では、評価者によって評価にぶれがないよう、評価基準を詳細に設定する必要があり、これはこれで困難な作業です。
受験生、学校双方にとって熾烈な戦いとなる入試。これからどうなっていくのでしょうか。
受験生の本音と学校の思惑
<モリの目>(森上展安)
タカさんが取り上げた今回の数字は、学校が実施する入試の回数ですね。平均すると、入試回数は5回になるという訳です。
受験生からすると、最初の1,2回は未だ1校も合格をいただいていない受験になり、後半の2,3回は1,2校の合格をいただいてからの受験になります。従って、後半の入試では実施の受験者実数と応募時の応募者数とかなり違いが出る学校が一般的です。
つまり入試する側からすると、前半の入試で決着をつけたいのが本音です。なぜなら第一志望者による入試が行われているからです。後半は、前半で第一志望合格が叶わなかった受験生による入試になります。こちらは受験生にとってはより上位校受験の落武者の受け皿としての機能となり、学校にとっても優秀な生徒を獲得するチャンスです。
学校が伸びようとする時は後半戦の入試を増やして、こうした生徒を獲得しようと動きます。近年では、5日に入試を設けた大妻などが端的な例です。