はじめに
午後算数一科入試の戦略
品川女子を嚆矢(こうし)として、女子校が午後算数一科入試を競って導入したのはそうした努力の一つです。午後算数一科入試は、上位校の受け皿として見事にニーズに応えたので、今ではかなりの数の学校が導入しているのは周知の通りです。
ただ、その多くは2月1、2日の前半戦に設定されています、第一志望ゾーンであり、実情は第二志望ならぬ第1.5志望辺りの位置付けになるかもしれません。
午後入試は二つのタイプがあり、都市大付に代表されるような低倍率もあれば、巣鴨、世田谷に代表されるような高倍率もあります。ですから低倍率タイプは第二志望に近く、高倍率タイプは第1.5志望に近いとも言えます。
来年増えそうな入試形式は
来年は特に増えそうなのが、こうした序列による選抜ではなく、適性による検査という考え方の入試です。それらは面談を基調にしたものですが、いわばニーズのマッチングで合否が決まります。大学入試で言えばAO入試をイメージしていただくとよいでしょう。
最も分かりやすいのは女子美大付で、同校は受験生に求める第一の資質を、絵を描くことや工芸制作が好きであることとしています。もちろん、一般入試の学力試験で合否が決まりますが、それほど難しい試験ではありません。
同校では、美術・工芸系の授業が他校より多く設けられているので、好きでなければ続かないでしょう。そこを「好き」とは言っても「上手」とは言わないところが中等教育の入試ならではだと思います。小学生は「好きこそものの上手なれ」ですね。