はじめに

巨額の経済対策を実行できるか

インドネシア政府は6月、貧困層救済や中小零細企業の支援などのための経済対策として、総額約695兆ルピア(約5兆700億円)の国家経済復興プログラムを策定しました。GDPの4%超の規模で、慢性的な赤字に苦しめられているインドネシアにとっては容易に実行に移せるレベルではありません。

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この復興プログラムを発表するにあたって、「財政赤字をGDP比3%以下に抑える」と定めていた従来の財政規律を緩和、2022年までの期限付きながら、赤字でも財政支出を行ないやすいように規律を改正しました。

時限的措置ではありますが、中銀の独立性が損なわれる可能性がある、と懸念する声も強まってきました。また、もともとインドネシアの政府機能は非効率で、実際直近は予算通りに執行されないケースもみられます。そのため、このたび発表した復興プログラムについても、実際に実行されかどうか不確実性が大きく、今後も紆余曲折がありそうです。

海外投資を緩和

この復興プログラムと同時に、政府は景気浮揚につなげるべく、海外から投資をする際の規制を緩和する、という法案を成立させました。10月5日の国会で強行採決しましたが、この法案成立によって、労働者の雇用が損なわれるのでは、と危惧する労働者などが反対し、大規模デモにつながっています。

長期にわたる景気低迷のなかで、国民の不満がかなり蓄積されているという側面も大きいと思われます。インドネシア経済は、当面、脆弱な財政状況、政府に対する不信感、の中で、難しい政策運営を強いられると思われます。

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