はじめに
オンライン販売に舵を切る
さらに、前出のフィガロ紙は4月16日の記事で、同社のファイナンスディレクター、ジャン=ジャック・ギオニー氏をインタビューし、「2ヵ月間のロックダウンが開けた中国の人々には、早くも購買活動への意欲が見られる」との意見を報道しています。オンラインショップを活用すれば、いつでも世界中の顧客に向けて販売が可能になります。
「2020年第一四半期LVMHは良く耐え抜いた」との表題で自社サイトに公表され発表された報告書。グループ全体の実績は84%減。
つまり、フランスで生産した高級ブランド品を、オンラインで諸外国へ売るという戦略です。
実店舗の苦戦にどう耐えるか
実店舗はどうなるのでしょうか。冒頭でも述べた通り、現在パリの高級ブティックはどこも閑散としています。これら実店舗の維持を、経営者はどう捉えているのでしょうか。仏マダムフィガロ誌副編集長のクロディーヌ・エス氏に、話をうかがいました。
同氏は「高級ブランド店の顧客のほとんどが外国人であることを考えれば、この厳しい状況はコロナウイルスの問題が克服されるまで続くと考えるのが妥当だ」と答えます。そして、「かたやドバイや中国主要都市の実店舗は、現在も好調に売り上げを上げている。経営陣は、これら諸外国での売り上げとオンラインで利益を確保しつつ、苦戦中の実店舗を守りたい考えでは」と推測します。
パリ市内のシャネル路面店
ラグジュアリーホテル同様に、将来的には再び外国人が戻ってくることを予想しつつ、今は苦しくとも耐え抜こうとする様子がうかがえます。