はじめに

昇級、業績アップなどがあり、それに伴って給料が上がると嬉しいですよね。しかし、給料が上がったはずなのに実感がない、というケースは決して珍しいことではありません。そんな時は、しっかりと原因を確認しましょう。「使えるお金が増えた気がしない……」、という気持ちをそのまま放置しておくと、仕事へのモチベーションにも影響します。

原因がわかれば対策も立てられます。今回は、給料が上がったはずなのに手取りがほとんど変わらない場合の原因について、考えていきましょう。


まずは給与明細をチェック

給料は上がったはずなのに手取りが変わらないと思ったら、まずは給与明細を確認します。

給与の支払いがあった時、金融機関の口座に振り込まれた金額だけしか見ないのはよくありません。必ず給与明細も確認して、支払金額はもちろんのこと、支給と控除も確認しましょう。

給与明細の支給の欄には、勤務先から支給される基本給や各種手当などが項目ごとに記載されています。控除の欄は、支給から差し引かれる税金や社会保険料などです。

手取り金額は、支給から控除を差し引いた金額です。給料が上がって支給金額が増えても、控除も増えれば手取りは増えないのも道理。控除が増えていないか、給料アップ前の給与明細と比べてみましょう。

給与明細をチェック1:所得税が上がった

日本の所得税は、「超過累進税率」といって、所得が高ければその分所得税が増えます。

たとえば、課税される所得が800万円の場合は税率が23%となり、所得税は120万4000円です。

800万円×0.23-63万6,000円=120万4,000円

しかし、課税所得が900万円以上なると税率は33%になるので、課税所得が1000万円の場合は所得税が176万4000円になります。

1,000万円×0.33-1,53万6,000円=1,76万4,000円

課税所得が200万円増えても、所得税も56万円増えています。1カ月あたりにすると約4万7000円。決して小さくない金額ですね。手取り額が増えたように思えないのは、所得税が上がったためかもしれません。

しかし、所得税が上がったのだから仕方ない、とあきらめるのはまだ早いのです。

所得税は、課税所得に税率をかけて計算します。課税所得とは、収入から各種所得控除を差し引いた金額です。
課税所得=収入金額-所得控除

つまり、所得控除が増えれば課税所得が減り、税金を安くすることができます。

所得控除は15種類です。
1. 雑損控除
2. 医療費控除
3. 社会保険料控除
4. 小規模企業共済等掛金控除
5. 生命保険料控除
6. 地震保険料控除
7. 寄附金控除
8. 障害者控除
9. 寡婦・寡夫控除
10. ひとり親控除
11. 勤労学生控除
12. 配偶者控除
13. 配偶者特別控除
14. 扶養控除
15. 基礎控除

利用できそうなものがあれば、今からでも対策をたてましょう。iDeCoに加入すると「4.小規模企業共済等掛金控除」、扶養家族が増えたら「14.扶養控除」などがあります。給料から差し引かれる所得税は、課税所得を見込みで計算したものなので、年末調整や確定申告をすることで、取り戻すことも可能です。

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