はじめに

「発展途上のあなた」には?

もし、自分に対してまったく自信がなく、ブレブレの段階であったとしたなら、ここでいったん「自分らしく」は忘れてほしい。
発展途上のあなたが、現段階でその才能を発揮できなかったとしても、焦ることはない。
あなたは潜在能力の塊、伸びしろだらけのはずだ。「伸びしろしかない」と“自慢”してもいいくらいである。

そんなまだ実力が開花していない、何の実績もない、たいした功績もない、そんなあなたを“青田買い”してくれというのだから、ずうずうしい話だ。それを採用担当者にアピールするのは困難だろう。

ではどうすればいいのか。そう、答えは簡単だ、演じればいい。
たしかに、嘘はいけないが、あなたがなりたい自分、あなたが目指すべき姿、「未来のあなた」を先走って演じることは、はたして〝嘘〟といえるだろうか。来るべき未来のあなたの姿を今から演じ続けることさえできれば、それはあながち〝嘘〟とはいえなくなるのではないか。だから、ハッタリをかます大ボラ吹き、大いにけっこう。さしずめ“転職版フェイク・イット”ということになるだろう。フェイクとは、ニセモノのことである。

この「フェイク・イット」というフレーズは、かつて自己啓発の世界で一世を風靡した流行語だ。これを転職の舞台で活かさない手はないだろう。理想とする姿をとことん演じて演じて演じ続けることさえできれば、いずれ我に返ったときには、「本物の姿」となっているのである。

よって採用した企業はだまされていないし、損もしていない。
であるなら、最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞並みの演技力で、すべての人を上手にだましてあげてほしいものだ。

無理やりに、「私はできる」「僕はすごい」と暗示をかけても、うまくいかない。むしろ、潜在意識に「いや違う、そんなことはない」と抵抗され、逆効果になってしまう。そんなに簡単に自分自身をコントロールできるくらいなら、はじめから苦労はしないだろう。

だからこそ、本物を演じきり、潜在意識を効果的にだまし続けなければならない。未来とは、嘘から出たまことだ。嘘の連続が未来を創るのである。

転職の鬼100則

早川勝 著(明日香出版社)

転職の鬼100則

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