はじめに
利用しない理由は「国内の感染がまだおさまっていないため」が最多
一方で、図1では「利用するつもりはない」が約半数を占めていました。その理由を見ると、トラベルでもイートでも最も多いのは「国内の感染がまだおさまっていないため」です(図2)。トラベルを利用していない理由を順に見ると、感染状況がおさまっていないため、そもそも旅行を予定しておらず、外出を控えている、といった様子が読み取れます。なお、当初、東京はトラベルの対象地域から除外されていましたが、それを理由に利用していない人は1割以下です。
一方、イートでは「キャンペーンの内容が分かりにくいため」が2番目に多くなっています。とはいえ、イートの仕組みは、対象のオンライン飲食店予約サイトから飲食店を予約すると、利用時にポイントが付与されるなど、さほど複雑なものではないでしょう。よって、これは、9月末時点での内容の認知度の影響によるものと考えられます。トラベルは全国的に感染が再拡大した時期に実施されたため、賛否も含めて、メディアで大きく取り上げられましたが、イートは取り上げられる機会がトラベルより少ない印象があります。
感染不安より、お金の問題で利用できない消極層も
利用消極層のうち過半数は、完全状況が改善されたら利用したいと答えていますが、3割程度は感染状況によらず「利用したいと思わない」と答えています。この超利用消極層は世帯年収の低い層で多い傾向がありますが、必ずしも感染不安が強いわけではありません。
現在、失業率は徐々に上昇しており、新型コロナで苦境に立たされている業種のパート・アルバイトなどでは雇い止めも見られます。超利用消極層は、お金に余裕がないために「利用したいと思わない」ということなのかもしれません。
最近、一律10万円の「特別定額給付金」に加えて、さらに5万円を給付という案が浮上しています。前回は迅速さの観点から一律10万円となりましたが、今後は対象を絞って、就業状況や家族構成などの各自の事情に合わせた手厚い支援策を継続的に実施していくことが望ましいのではないでしょうか。