はじめに
詐欺業者に騙されたCさん
住宅ローンを長期で延滞しているCさんは、ある日「法的整理を進めています」と電話してきました。延滞を続けている人なので、ある意味納得しつつ、一度窓口で話を聞くことになりました。
「法的整理をするのは自由」「専門家が受託した瞬間から話ができなくなります」「あとは、事務的に手続きが進んでいくので、よく専門家と話し合ってください」などと説明しました。
しかし会話の途中で、債務整理をする専門家の事務所や契約内容など、おかしい点がいくつかありました。見せてもらった名刺には、司法書士や弁護士などの肩書きはなく「コーディネーター」とあるだけ。書かれていたのは携帯の番号でした。
銀行員として言いたいことは色々あったのですが、あまり口出しし過ぎると、相手から業務を妨害したと言われる恐れがあります。我慢して黙っていました。Cさんが帰る前に、「司法書士か弁護士なのに、名刺に免許番号はないですね」とだけ伝えました。
後日、Cさんは騙されていたことに自分で気づいたそうです。しかし、費用として支払ったお金は当然、戻って来ませんでした。
そして、Cさんには法的整理をしようとした事実だけが残りました。銀行ではお客様との面談内容などは、すべて記録します。Cさんは要注意人物とされ、それが直接の原因では無かったのですが、結局は破綻してしまいました。
ローン減免制度の検討も始まっている
最近のニュースに、台風被害など災害時に発動する「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン(参考引用参照)」を、コロナウイルスにも適用できるよう検討を始めた、というものがありました。
この被災ローン減免制度は,自然災害の影響によって,住宅ローン等を借りている個人や事業性のローン等を借りている個人事業主の既往債務の負担を減免するための制度であり,自己破産等の法的整理と異なり,原則的に保証人への請求がない,個人信用情報に登録されない,登録支援専門家の手続支援を無料で受けられる,法定の差押え禁止財産や現預金500万円までを目安とした自由財産の保有が認められるなど,被災者にとり大きなメリットがある。
この点,新型コロナウイルス感染症の蔓延により既往債務の支払いが困難となった債務者も,その被害の性質や救済の必要性において自然災害の影響を受けた債務者と異なるところはないため,コロナ禍の影響を受けた債務者にも被災ローン減免制度が速やかに拡大適用されるべきである。
引用:関東弁護士連合会/「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を新型コロナウイルス感染症に拡大適用するとともに制度が適用される対象債務を幅広く設定することを求める理事長声明
この記事を執筆している10月18日現在で、まだ正式に決まったことはありません。しかしながら、このようにコロナウイルスの感染拡大でローンの返済に困っている人に救いの手を差し伸べようという動きもあります。やっと手に入れた大事な自宅です。焦って結論を出さず、どうか慎重に考えて頂きたいと思います。
次回記事では、私が最もおすすめしたい「リスケ」という方法について、詳しく説明したいと思います。