はじめに

第三次補正も大型化へ

今後の注目点は第三次補正予算へと移ります。内容としては、予算が枯渇しつつあるGo Toキャンペーン、年末に期限が切れる雇用調整助成金の特例措置(助成率100%)の延長が中心になりそうです。

それに加え、資金繰り対応の原資となる歳出は一次補正の3.8兆円から二次補正では11.6兆円へ上乗せされましたが、こちらも今後拡充される見込みです。

平時であれば、収益力の乏しい企業を資金繰り支援によって延命させることは好ましくありません。しかし、失業予備軍ともいえる休業者は依然として197万人おり、このまま企業が破綻し大量の失業が発生すると、その後の回復もおぼつかなくなります。景気回復を確実にしていくためには企業の存続と労働力の維持が必要です。

これまでのところ、第二次補正予算の予備費の使い残しを含めても真水で10~20兆円との観測報道が多くなっています。ただ、下村自民党政調会長が「Go To トラベルは東京五輪まで継続する」、世耕参院幹事長が「30兆円ぐらいの真水があってもいい」と発言するなど、予算の大型化への期待も出ています。

家計向け特別定額給付金の再実施にも慎重な意見が多いですが、収入が大幅に減った世帯に限定して30万円を給付するという当初の案を中心に前向きに検討されるべきでしょう。日銀が「上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う」としていることも踏まえれば、債券市場には国債増発を吸収する余地が十分あります。

国民の間には再び自粛ムードが漂いつつありますが、自粛によってダメージを受けるのは主に経済的に弱い立場にいる人々です。政府にはこれまでと同様に、そういった人々を絶望させない経済政策の継続が求められます。

※内容は筆者個人の見解で所属組織の見解ではありません

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