はじめに

「ドルコスト平均法」の考え方

積み立てでリスクが避けられるという話の、最大のメリットは「ドルコスト平均法」によって説明できます。

これは有名な手法ですので、耳にしたことがある方も多いかと思いますが、念のため簡単に説明しておきますと、一定の金額を一定の期間の幅などをもって継続的に買い付ける投資法です。

これは、株を毎日買うということでもいいのですが、「一定の金額」を買わなければならないので、「決まった金額」を買うことが難しい株式ではなく、投資信託や貴金属が対象となることが多いです。

具体的には、投資信託や貴金属を「毎月1万円ずつ買う」、あるいは為替などで「毎日1ドルずつ買う」という方法です。

ある「一定の金額」で買うので、価格が変動するものに対しては買い付ける「量」が変わります。つまり、価格が安くなれば多く買い、高くなれば少なくなる。そして、将来、価格が上昇していれば利益が出るということです。

例えば、金の価格はニューヨーク相場が基準になっていることが多く、為替の影響も受け価格変動が大きいです。株価のように毎日変動しているのです(下図)。

この金を、安いところで買って高いところで売ることがうまくできればいいのですが、そう簡単でもなく、実際は価格の変動リスクが高くなります。

金の積み立て購入シミュレーション

では、この金を毎月5,000円ずつ買うとどうなるでしょうか? 加えて、その5,000円を「毎日」分割して買い付けるとこのようになります(下表)。

計算を簡単にするために、毎日165円ずつ、200日間購入するとし、手数料等を勘案しないと合計で3万3,000円を支払って、7.50857gの金を買ったことになります。

買い付け平均単価は1g当たり、約4,395円。7月21日の価格で売却したとすれば、1g当たり25円の利益が出ていることになります(今回のグラフと表の金の価格は先物の数値であり、あくまでも参考です。実際には現物の買い取り価格や売り渡し価格での取引となります)。

さらに、ここから急騰して、1gが5,000円になったとすれば、平均買い単価が若干上昇したとしても、利益が拡大することになります。

実際に筆者は金の積み立てを20年程度行っています。買い付け単価は1,000円割れから5,000円程度までと広いのですが、何度か利益を出した後も、まだ利益が出ています。

株の取引きなどで一攫千金を狙うのもよいですが、コツコツとした積み立て投資も行うと将来的に利益を出しやすく、初心者には実行しやすいのではないかと思います。

「貯蓄から投資へ」の第一歩

ただ、このドルコスト平均法は完全なものではく、もちろんデメリットもあります。

積み立てを始めたところから、長い間、下落が続くことになると、なかなか利益が出てこないのです。

ただ、長期に考えると低金利の預金として寝かしておくよりも、値動きのある株式や投資信託、貴金属などを積み立てていくことのメリットのほうが大きくなることが多いでしょう。

「リスクを抑えたい!」と思っている初心者の方の投資の第一歩として、検討に値するのではないかと思います。

(文:清水洋介)

※本記事は投資一般に関する情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません

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