はじめに

TOBで大きく株価が動く

TOB(株式公開買い付け)とはあらかじめ買い取る「株数」、「価格」、「期間」を提示して、一括して買い付ける手法です。株主は指定の証券会社で売却することが可能となりますが、株式の購入数が無制限の場合はTOB価格に株価がサヤ寄せするのでそこで売っても良いでしょう。

このTOBに絡むもので敵対的な買収が発表になった場合はさらに株価が上昇することが多いです。直近では島忠株のパターンでしょう。

島忠は首都圏にホームセンターを展開しており、同業のDCMホールディングス2020年9月18日の日経新聞に「買収を検討」と報じられ、10月2日にDCMホールディングスが島忠に対して1株4,200円でTOBを発表、10月21日にニトリホールディングスが島忠に対してTOBを検討していると報道、10月21日にアクティビストファンドと思われる「シティインデックスイレブン」が島忠株を8%強の保有を発表。10月29日にニトリホールディングスが島忠に対して1株5,500円で完全子会社化する旨を発表しました。

島忠はDCMホールディングスのTOB提案に対して賛同の旨を示していましたが、ニトリホールディングスがさらに高い株価でTOB提案をしたことにより株価は高いところで決着しています。

投資家はどのタイミングで島忠株を購入すれば利益を獲得できたか考察しますと、私は9月18日の報道時の1択だと考えています。

同日にDCMホールディングスが出しているIR(本日の一部報道について)で「当社は常々今後の成長戦略として、株式会社島忠も含め、他社との提携・様々なM&Aの可能性を検討しておりますが、いまだ決定しているものはありません。今後何らかの決定を行いましたら、速やかに開示いたします。」となっており、報道を全面否定しているわけではありません。

この時点では株価も24.7%(ストップ高翌日の9月24日と9月18日の終値比較)しか上昇していません。仮にDCMホールディングスからTOBの発表が出ないとしても首都圏の好立地に多数の店舗を持ち、資産も多く持っている割安株の島忠に対しては他社からのM&Aの可能性も考えられます。このためすぐ株価が元に戻って損をしてしまうより現在の価格より高い水準のM&AがDCMホールディングスから出される可能性が高いと考えていました。

結局DCMホールディングスからは10月2日に報道後の9月24日の終値である3,590円より約17%高い4,200円でTOBが発表されました。その後、ニトリホールディングスの買収報道が発表され株価はさらに上昇したわけですが後に発表されるTOB価格は報道後の株価を上回っています。

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