はじめに

「融資アレンジ」で気をつけたいこと

――不正融資トラブルでは悪質な業者が問題になりました。収益専門業者による「融資アレンジ」はどうでしょうか。

業者に物件とセットで融資の手配まで依頼するのは、手間が省けて効率的ですから私は賛成です。ただ、それにおんぶに抱っこでは危険です。その良し悪しが自分で判断できるスキルは身に着けておかなければといけない。買えるからいい案件ではなく、事業として運営していくにあたり、良い物件なのかを見極めないと失敗物件をつかまされてしまいます。ここが大事ですね。

――では、どんな物件を選んだらいいですか?

賃貸需要があり満室経営ができる見込みのある物件です。たとえ山の奥にポツンと建っていても、そこに入居者がしっかり付けばいいでしょう。私がドミナント戦略(特定の地域で物件を買い集めること)にしているのは融資のためもありますが、自分の目の行き届くエリアを選んでいるということです。だから自分が分からないところは買いません。

――「不動産投資=不労所得」というイメージをどう思いますか?

今は「不労所得を得たい」というイメージだけで参入するのは厳しい時代です。「自分がオーナーとして賃貸事業として切り開いていくんだ」という目的意識が大切です。もちろん本業の傍らで行う副業として不動産投資を行うのも問題ありません。ただし「副」業ですから、あまりにも短期間で「とっとと脱サラしよう」という考えには危険が伴います。最初から不労所得をつかみにいくと騙されるので、いい物件を買うための知識を学び経験を積み重ねてから行動しましょう。

――やはり勉強が大事ですね!

ただし勉強だけして完結していたら意味がありません。それは数字に対しても同じです。例えば「利回り〇%なければいけない」と数字に固執して買えなくなってしまう人や、「あの人はこういう物件を買っているから私もこういう物件がほしい」と他人の投資に囚われている人は、要注意です。

――そうならないためにはどうしたら?

「こういうふうになりたい」というお手本を1人見つけること。私は邱永漢氏(台湾、日本の実業家)の教えを学びました。ロバート・キヨサキさんの『金持ち父さん 貧乏父さん』をバイブルにして、実践している方は多いです。

――最後に、不動産投資に興味を持っているサラリーマンが注意すべきことは何ですか?

私見ですが、高額なコミュニティやスクールをやっている人に投資で成功している人は少ない印象を受けます。彼らが融資を受けられているのは、不動産よりも事業所得のほうが強いケースも多い、と思います。不動産賃貸業としての実力と事業の評価は違うものです。良い悪いではなくて、同じことがサラリーマン投資家では再現できません。だからこそ、不動産賃貸業だけで成功している方から学び、それを血肉にして欲しいと思います。

※この記事は投資を推奨するものではありません。自己の判断のうえ、投資を行ってください。

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