はじめに

見落としがちなもう一つの「壁」とは?

前項でご紹介した「壁」は、言い換えると「業務を自ら推進するために必要な壁」です。しかし、転職時には見落としがちなもう一つの「壁」があります。「期待値と現実の壁」です。

人にはそれぞれ適応するために必要な時間があります。それに対して「なるべく早く適応したい本人」と「いち早く活躍してほしい受け容れ側」という期待値があります。その間で、少なくないギャップが生じてしまうのです。これが生じると、本人と受け容れ側の双方で、「ストレスがストレスを呼ぶ『負のループ』」が起きてしまいます。

この問題は、起きてしまうと簡単には解消しにくいため、双方が事前によく認識しておくことが大切です。転職者ができることは、まず自身がその状況を認識し、周囲に理解を求めていくことです。自分にとって最適な適応期間を確保することを務めましょう。

「壁」を乗り越えるヒントは過去にあり

新しい環境に飛び込むとぶつかる「壁」は、実はどこかで経験していることが少なくない「あるある」プロセスなのです。自身の過去を振り返ることで、立ち向かうヒントが多く得られます。

まずは、これまで自身が経験してきた「困難なこと」を思い出しましょう。些細なことでも結構です。そして、それを自らどのように克服してきたか、具体的に書き出します。そうすると自身の「克服パターン」が見えてくるはずです。

さらに、「壁」の種類別に書き出すと、自身がぶつかっている問題の全体像が理解しやすくなります。

乗り越え方が同僚や先輩など、同じような「壁」にぶつかったことがありそうな人に聞いてみるのも良いでしょう。

この「壁」は転職場面だけでなく、その後にやってくる新しい仕事や役割を担う度に繰り返し現れる本質的なものです。自身の未来のために、ぜひ「克服パターン」の蓄積をしてみてください。

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