はじめに

久しぶりに友人に会って

それでも彼女は9月に入ってようやく派遣で仕事を見つけました。一時期とだえていた大学時代の友だちと久しぶりに会うこともできました。

「学生時代からずっと虚勢を張って生きてきたんですが、友人たちに初めて、彼のことや私が故郷へ帰りたくないコンプレックスなどもさらけ出してしまいました。誰かに話さずにはいられなかったんです」

ふたりともアキさんの気持ちをゆったりと受け止めてくれました。学生時代からちょっと気むずかしい子だと思っていたけど、そんなコンプレックスがあったのねとひとりはうなずき、もうひとりは「彼が悪い。アキは悪くない」と断言してくれました。

「経済的には苦しいけど、友人ふたりと初めて心を開いて話すことができたのは、私の人生の最大の収穫だったような気がします」

どんなときにも希望はあります。希望の光を見いだすのは人としての知恵なのかもしれません。

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