はじめに

収入と支出を検証してみましょう

老後資金に不安を感じているということですので、現在の収入と支出、退職後の収入と支出がどのようになっているか、確認します。

●現在の収入
相談者様の場合、既に住宅ローンも完済済みであり、大きな出費となるのは、教育費となります。現状では、毎月の世帯の手取り金額は55万円で、毎月の貯蓄額は31万円です。また、年間の世帯の手取りボーナス額は230万円であり、ボーナスからの年間貯蓄額は40万円となっています。

家族構成は、夫婦と大学3年生の娘さんと高校3年生の息子さんの4人です。教育費は1万円となっていますので、恐らくボーナスから学費等を支払っているのでしょう。

ご主人は60歳で退職を希望されており、会社員生活は残り4年です。娘さんが大学院等に進学しなければ、娘さんの学費は今まで通りの生活をしていても支払えると思われます。息子さんの学費に関しては、大学生までならギリギリ間に合う、わずかながら退職後に支払いが残ってしまう可能性がありますが、毎月の貯蓄額が31万円であることから考えると、今ある預貯金を減らすことなく、支払えるのではないでしょうか?

●現在の支出
毎月の世帯の支出の目安は24万円となっています。内訳を見ても、特に無駄遣いをしているとは思えませんし、ボーナスがあると言っても、毎月の支出を24万円で抑えられているのは立派ですね。

●ご主人が退職した後の収入
ご主人が退職するのは4年後です。細かく記載はありませんが、年金が受給できる65歳までは、相談者様の収入のみになってしまいます。

ご主人が65歳になると年金の受給が始まり、相談者様の給与+ご主人の公的年金12万円でご主人が70歳になると、世帯での公的年金の収入額は17万円になります。

ご主人の定年退職時の預貯金はいくらになる?

現在の貯蓄総額は2,100万円、投資総額は100万円です。

それに加えられるのが、月毎の貯蓄額とボーナス時の貯蓄額です。毎月31万円貯蓄できていますので、残り4年間では31万円×12月×4年=1,488万円。ボーナスの年金貯金額は40万円×4年=160万円。また、退職金として2,000万円を支給されることになっています。

現在の貯蓄額および投資総額に、これらの金額を加えると、ご主人が退職したときには、手元に5,848万円が残っている計算です。

夫婦がともに年金が受給できるのは、ご主人が退職してから10年後です。退職後は、お小遣いも減ると思いますので、支出も抑えられると思います。乱暴ですが、その期間、収入が一切ないとしても、毎月の支出が24万円のままなら10年間の支出は2,880万円。手元には3,000万円弱が残る計算になります。

不安の理由を話し合うことが先決

ここまで、お金の収支のみをお話ししてきましたが、このままのライフスタイルが継続していれば、老後資金に困るような事態になりにくいと思います。

一番の不安は、相談者様が体調に不安を感じ、定年まで働けないかもしれないということだと思いますが、ご主人の方は、自分自身でリタイア後のシミュレーションをして、60歳でセカンドライフをスタートさせても大丈夫だと考えているのではないでしょうか?

不安な気持ちは、直接、伝えなければ分かって貰えません。今、不安に感じていること、できれば60歳以降も再雇用などで働いて欲しいということをご主人に伝えてみてはいかがでしょうか?

夫婦それぞれで思い描くセカンドライフに違いがあると、余計なトラブルに発展することさえあります。是非一度じっくりと話し合い、夫婦としての方向性を定めてみてはいかがでしょうか?

話し合うことで、働き方のアイディアも生まれてきますし、ご主人は、きっと不安な気持ちに寄り添ってくれるハズですよ。まずは、自分の気持に正直になってください。頑張ってくださいね。

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