はじめに
株式市場は人類の厚生を意味しない
株式市場は経済の体温計とも言われます。しかし、それは人類の厚生を意味するものでは全くありません。そのことは、依然としてコロナの悪影響が生活に色濃く残る中、各国で株価が上昇し続けていることに如実に表れています。
米サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は10月13日の会見で、「実体経済回復の足取りが鈍く国民の多くが依然として失業状態にある中で株式だけが上昇しているのは不公平で、ウォールストリートが勝利しメインストリートが敗北している事例だ」との問題意識を示しました。
一方、「金利を早期に引き上げれば富裕層の一段の富拡大を阻止できるかもしれないが、雇用が悪化しかねない」と苦しいジレンマに陥っていることを吐露しています。
著者も、一個人としては新型コロナウイルスの一刻も早い感染収束を心から強く願っています。しかし、株式市場にとっては支援策縮小や増税による悪影響の方が大きいと考えています。コロナ禍のような状況ではこれまで以上に経済と株式市場をはっきりと分けて考える必要があると言えるでしょう。
※内容は筆者個人の見解で所属組織の見解ではありません。