はじめに

「株高となった年の翌年は株が上がる」?

さて聞き慣れない統計値を取り上げましたが、次に紹介するのはシンプルなアノマリーです。「株高となった年の翌年は株価が上がるのか」を見たものです。

東京証券取引所が戦後再開した1949年5月以降の日経平均株価を使って集計しました。その結果は、前年が上昇した年の翌年は7割が上昇する、というものでした。上昇した年のうち翌年が株安なのは3割に過ぎなかったということです。そして株価が上昇した年の翌年の騰落率を平均すると、14%と高い上昇となっています。

一方、前年が下落した翌年の株価が上昇したのは、5割程度に過ぎません(52%)。この結果から、翌年の株価は前年の勢いを引き継ぎやすいことがわかります。このように株価の勢いが続くことを運用業界では“モメンタム”と呼んでいます。

このモメンタムは“月間”の傾向にも見られます。2020年11月には大統領選後に株価が急騰、日経平均株価でみると月間で15%上昇しました。月間で15%を上回る上昇をみせたのは、1949年以降で9回しかありません(今回を除く)。さらにその翌月から半年間の日経平均株価の動きを見ると下落したのは2回のみ、78%の確率で上昇しています。

月間で大きな上昇を記録するということは投資家心理の改善が大きかったことを示しており、その後半年のモメンタムとして堅調な株価につながるものと考えられます。

新年の株価が好調となるとの予想を裏付けるものは他にもあります。10月21日の記事で紹介した米国大統領選のアノマリーでは、大統領選の翌年の日経平均株価は上昇する傾向にあることがわかりました。大統領選を終えて、政治的な不透明材料を超えたことにより相場にポジティブに働くことが背後にあると考えられます。

2021年も今年からの“モメンタム”となる明るい相場が期待できそうです。

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