はじめに

投資にかける時間は「月10分程度」

会社帰りにインタビューに応じてくれた。格闘技で鍛えた背中には、二児の父としての頼もしさが感じられる

なお、虫とり小僧さんの本業は会社員。投資はあくまで「副業」だ。そのため、投資は「仕事に支障をきたさない範囲で」と決めている。

「個別株を買っていたときは『仕事に手がつかない』とまではいきませんが、ずっと頭の中にそのことが引っかかっていましたね。これはちょっとよくないなと。それに、本気で個別株で儲けようと思ったら勉強することもたくさんあるし、情報収集にも時間がかかる。とても仕事との両立は無理だろうと思ったんです。そういう意味でも、私にとってはやはりインデックス投資が適しているんでしょうね」

――インデックス投資は「ほったらかし」にできるのも利点と、よくいいますね。

「そうですね。私自身、投資にかけている時間は月に10分くらいだと思います。インデックス投資は大儲けはできないけど理論的な裏付けがあって、投資のプロがやっても自分がやっても大差なく、着実に資産を築ける。アクティブ投資家の方からはよく『市場平均にタダ乗りしている』と言われていて、その通りなんですけど、仕事も頑張りたいサラリーマンが無理なくやるには一番現実的な選択肢ですよね」

12年間の利益は「高級車が買える」くらい

8つの投資先にほぼ均等な割合で投資している 図表:藤田としお

購入するのはすべて投資信託。バランス型投資信託をメインとして、毎月8対1対1の割合で自動買付を行っている

――では、気になる運用成績は?

「12年間のパフォーマンスは年率平均5~6%。リーマンショックで価値が半分になった後もリカバリーできているので十分かなと。現時点での利益は高級車が買えるくらいですかね。保険屋さんに勧められた商品の予定利益が30年で400万円くらいでしたから、そこは超えました」

堅実に資産を積み上げる虫とり小僧さん。将来のお金にまつわる不安が減ったおかげで、精神的にも余裕が生まれているという。

「特に、仕事に対する考え方が変わりました。会社員なので、上司に命令されたら多少意に沿わないことでも飲み込まなきゃいけないんですが、お金に余裕があれば、いつだって会社を辞められるという心の余裕ができる。つまり、『いざとなればNOと言える』拒否権を発動できると思うんです。私の場合、まだそこまでは到達していないんですけど、そこに至る道筋が見えてきたことで精神的にラクになりましたね。儲かったからといってリタイヤしようとは思いませんが、少なくとも『お金のために働く』という状態は脱したいと考えています」

さらに、投資経験で培ったお金のノウハウを子どもに残したいという思いもあるようだ。最後に、少し照れつつも優しい親父の顔で語ってくれた。

「ブログのタイトルが『いつか子供に伝えたいお金の話』なんですけど、子供への遺言のつもりで書いています。今は小学生と幼稚園なのでまったく理解できていませんが、いつか関心を持ったときに読んでほしいなと。お金のことって、なぜか親も学校もなかなか教えてくれませんよね。特に投資はギャンブル的なイメージが強く、敬遠されます。確かに、ギャンブルのような投資もありますが、自分の子供にはそれを見極める力をつけてほしいと思っているんです」

(文:榎並紀行/やじろべえ)

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