はじめに
日常的にスリに警戒する
パリで盗難などの被害に会っているのは観光客だけではなく、そこで暮らす市民もターゲットになっています。フランスのメディアでは、東ヨーロッパからパリに出稼ぎに来る組織的な泥棒グループがいることを度々報じていますし、日々の生活では日本以上の防犯対策が必須です。
まず、パリやその近郊に住み、通勤や通学で地下鉄などを利用する人は、窃盗グループの顔(または顔つきや姿格好)を覚えていて、遭遇すると車両を変えたり、持ち物を盗られたりしないように抱えます。
メトロに子供4、5人の子供のグループが乗り込んできたらスリを疑います。フランスの小学生くらいの子たちは、子供たちだけではまず移動しません。引きずるような長いスカートにショールをかけた、独特の服装のグループにも注意が必要です。
街を歩いていて、彼女らが近づいてきたら持ち物を確認します。最近はブランドの服で着飾り、一見普通の人と変わらない風貌のグループもいますが、やはり見慣れてくると周囲の人々とは異なった雰囲気をまとっています。
スリに遭わないための自己防衛
地下鉄車内では、日本のようにドアの前に立って路線図を眺めていると、盗難に会う可能性が高まります。列車内では、立つより座った方が安全ですし、ドア付近より車両中央の方が、扉が閉まる直前のひったくり被害は減ります。同時にバッグの口には。常に手を被せておきます。こういった所作は、普段の環境から現地の人は自然に行っています。
スマホ、身分証(パスポート)、クレジットカードなど、盗られた時の「やることリスト」も、いざと言う時にパニックにならずに済みます。スマホのシリアルナンバーを控え、身分証は必要な箇所を写真撮影しておくと、盗難届や再発行がスムーズです。
日本でも海外にいるつもりで少し防犯対策をアップするだけで、いつもより犯罪に合う確率は減らすことができます。普段からの小さな心がけが一番の対策だと、今回あらためて痛感しました。
〈文:Keiko Sumino-Leblanc / 加藤亨延〉