はじめに
500万円に難色を示した業者にとった行動
――500万円! どんな風に価格交渉したんですか?
まず「内見をしたのですが、リフォームで100万円はかかりますね」と伝えました。それを理由に「500万円が限界です」とはっきり言ったんです。
すると、不動産会社さんは「実は他にも興味を持っている人がいるんです」と、ライバルをほのめかしてきたんですね。物件を見たのは私が最初でしたが、数日後にはそのライバルが見にくると。
――つまり“値引きは難しい”というメッセージですよね。
はい。私は「それなら結構です」と伝えました。それなら、他の方に案内していただければと。これは前の記事でも話しましたが、価格交渉は自分が追いかけたら負けなんです。相手に追いかけさせないと。譲歩してはダメなんですね。
――なるほど……。不動産以外の分野にも通じそうですね。
だと思います。その後しばらくして、不動産会社さんから電話がきました。ちなみにこの会社から私は何件か物件を購入しており、お互いに取引のある関係でした。しかも、私はローンを使わず“現金買い”することが多かった。担当者さんはそれを知っているので「(束田さんは現金で買う人だから確実。そして買ったあとに多少の不具合があっても揉めない。それなら)できれば束田さんに買ってもらいたいです」と言っていただいたんです。
――つまり、500万で決まったと。
いいえ、まだ続きがあります。500万円はかなり思い切った金額なので、担当者さんも「売主さんの意向を確認したい」とのことだったんですね。それからしばらくして、電話がきました。500万円は厳しいので510万円でどうですか?と。
――たった10万円の上乗せで買えるなら、いいかもしれませんね。
そうですか?(笑)。私は「すみません、それならあきらめます」と断ったんです。色々とお手間をおかけして申し訳ないです、と。この物件は、妥協してまで買うほどスペシャルな物件ではありません。つまり「過去最安値で買える」というお買い得感が売りの物件なんです。そういうときには、価格に妥協をしないことが大切です。これも、最初に自分が相場観を養っておいて、買うべき金額を自分で設定をしているからこそです。ただ、この価格交渉はこれで終わりではありませんでした。
次回、いよいよ物件Aの価格交渉がまとまります。