はじめに
外資主導から自国産業育成へ
外国の力をうまく利用しながら、徐々に自国産業を育成していくという今のベトナムの状況は、かつて中国が深センや上海などの経済特区に外国企業を誘致し、そののち自国産業を徐々に育成につなげて行ったパターンと似通っています。
ベトナムと中国では、国の経済規模や政策執行スピードの面で雲泥の差はありますが、外国主導の成長から自国産業育成を目指す、という政策の方向性の面ではほぼ同じ道をたどっているといえるでしょう。今のベトナムの状況はまだ外資主導ですが、将来的には中国のように自国産業が育ってくるベトナムに期待したいところです。
経済が好調なだけではなく、株式市場のほうも好調で、ベトナムVN指数の2020年年間騰落率は14.9%でした。2020年12月には、ベトナム個人投資家の証券口座新規開設件数が63,000件超と、月間過去最高になるなど、ベトナム現地では株式投資熱が高まっています。
個人投資家も今の自国経済の良好さを認めているのでしょう。台湾と同様にベトナムも、良好な経済状況社を素直に反映した株高になっている、と評価できます。2021年も好景気や外部からの投資増がベトナム株式市場を押し上げる、というパターンが続くと思われます。
<市場情報部 副部長 明松真一郎>