はじめに

アジア新興国、コロナ問題への対応の違いくっきり

アジア新興国の方に目を移すと、景気対策や金融緩和以外にコロナ問題への対応の差が経済状況や株式市場に大きく影響を与えています。特に、中国、台湾、ベトナムは、迅速なコロナ対策が他国から評価され、企業の経済活動もほぼ正常化しています。

このなかで、台湾とベトナムの状況を確認したいと思います。まず台湾ですが、台湾はデジタル担当大臣 ・オードリー・タン氏が主導した新型コロナウイルスの抑制策が内外から高く評価されており、実際に台湾経済、企業の生産活動もほぼ正常化しています。

TSMCの決算は絶好調

今の台湾は、実体経済が良好なうえに株式市場も好調、という正常な状態にあるといえます。そのなかで象徴的だったが、台湾を代表する企業であるTSMCが1月14日に発表した2020年10―12月期決算です。

同社は、世界で比較的早いタイミングで決算を発表する企業のひとつで、近年は同社の決算状況が半導体業界や関連産業の現状や先行きを見る判断材料になるという傾向が強まっています。

今回の決算内容は、売上高が前年同期比14%増、純利益が同23%増と増収増益で、四半期ベースで売上げ、純利益ともに過去最高となりました。足元の好業績だけでなく、注目されるのが、過去最大規模の280億ドル(約2.9兆円)の設備投資を発表したことです。

不安定な世界情勢のなかで、同社がこのような大規模投資に踏み切ったことは、半導体関連産業、同社の先行きの明るさを示唆していると言ってよいでしょう。今後も同社株が台湾株式市場をけん引することになりそうです。

ベトナムはコロナ禍でもプラス成長

そして、もうひとつ注目される国がベトナムです。ベトナムもコロナ封じ込めに成功している国の一つとして内外から高く評価されています。

実際、ベトナムの2020年のGDP成長率は前年比2.91%でした。直近10年間では最も低い水準ではありますが、世界的にマイナス成長となっている国が多い中では、大健闘といえます。

成長の原動力のひとつが輸出です。2020年の貿易収支は199.5億米ドルと前年比83.5%増加しました。特に対米輸出が好調だったことからみて、以前から言われていた米中貿易戦争激化によって、代替輸出先としてベトナムが選ばれていることの証しといえるでしょう。

また、TPP11、RCEP、欧州とのFTA、英国とのFTAなど、対外開放をすすめてきたことで、外国からベトナムに対する投資も拡大しています。