はじめに
今のままだと、90歳まで生きるために必要な資金は約6000万円
仮に今の生活状況のまま年金だけで暮らすようになると、毎月24万5,000円ほどの赤字で、その補てんが必要になります。総額いくら必要かは寿命によるところもありますからはっきり出せませんが、例えば90歳まで生きると考えると、今後20年でかかる生活費は5,856万円。およそ6,000万円ほど必要な計算になります。現在の貯蓄が3,500万円ほどということですから、生活費だけでおよそ2,500万円不足します。そのほかにも住居の修繕や病気、介護などにかかるお金も必要になる場合がありますから、さらに500万円ほどは準備しておきたいもの。こう考えていくと、不足額は3,000万円ほどになるでしょう。
不足額は多額なのに、現状ではお金が貯まる状況ではありません。3,000万円の差額を縮めるには、まず支出を見直して、圧縮する努力が必須です。お父様の言い分では、「じきに死ぬから好きにしたい」ということですが、今のままでは生活することができなくなる可能性があります。そこを理解してもらいましょう。
毎月の支出状況を見ると、全体的にメタボ支出です。必要な支出、そうではない支出を判断し、支出の仕方にメリハリをつけられると、無理や我慢が少なく支出を減らしやすくなるので、一度お父様と支出を振り返り、「必要」「不要」の仕分けをご一緒にされてみてはいかがでしょうか。10万円ほど下げられると、かなり将来の試算が変わってきます。90歳までの必要生活費を3,500万円ほどまでに下げることができます。
支出削減のポイントは、固定費
支出削減をラクにするポイントは、固定費を見直すことです。最近は大手キャリアでも安いプランが打ち出されていますし、格安スマホもあります。通信費の見直しは意外と支出削減となりますので、ぜひ取り組んでほしいものです。また、生命保険に過度の保障がついていないかの見直しもしてみましょう。時々、立派に独立しているようなお子さんがいる高齢の方でも、ご自身や配偶者の方に多額な死亡保障をかけている場合もあります。特段の理由がなければ、不要なはずです。また、ジム通いをしている方も多い年代ですが、通わなくなっていて会費だけ払っているのなら、やめましょう。意外と「コロナが収束したら……」などと言いながら、ぼんやりと継続している人も多いものです。
固定費の次は日々の支出の見直しも
固定費だけでは削減が不十分であれば、食費、日用品代など、日々の支出も見直します。特に食費は少し値段の高い外食に通う、食材にこだわるなどして高額になるケースもよく見かけます。こだわることはよいのですが、破綻が近づいている場合、優先順位を検討してください。他、おしゃれに気を使ったり、友人との交流を楽しんだりすることにお金をかけすぎる人もいますが、それも同様です。
「どの支出の優先度が高いのか」を考えながら、必要か不要かを判断していくと、意外と「なぜこれにこんなにお金を使っていたのか?」と思える支出が見つかったりもします。