はじめに

「コロナ禍で様々な企業が苦境に立たされています。これからは、会社の看板に頼らず自分の力で生きていく力を身に付けなければと思いました」

松岡留美さんは、大手外資系消費財メーカーに勤務するEC(電子商取引)マーケティングのスペシャリストです。現在は誰もが知るナショナルブランド製品のECプランナーとして活躍しています。

そんな松岡さんは今、副業として石川県輪島市にある老舗和菓子屋で働いています。


本業ではできない経験を積みたい

松岡さんがECに携わるようになったのはおよそ14年前。輸入食品販売会社でECサイトの立ち上げを担当して以来、EC関連のスキルの幅を広げるために転職を重ね、小売業やメーカーなど複数の会社で経験を積んできました。

順調にキャリアアップをしてきた松岡さんですが、コロナ禍で大企業が苦境に立たされている現状を目の当たりにし、会社の看板に頼らなくても生きていける力を身に付けたい、と考えるようになりました。強く興味を持ったのは「ブランディング」の領域です。

「ECサイトで『売上を挙げる』ためのノウハウは持っていますが、企業や商品の『ブランドを育てる』経験はありませんでした。小さな会社は、素晴らしい商品やサービスを提供していても、多大なコストをかけてCMやイベントを仕掛けることができません。Webを通じて、それらを世に出し、広めていく活動に携わってみたいと思いました」(松岡さん)

そんなとき、偶然目にしたのが、リクルートキャリアによる「ふるさと副業」というイベントでした。このイベントは都市部で働く人に副業として地方企業に携わってもらおうと企画されたものです。

ここで松岡さんは、石川県輪島市で和菓子製造・販売を行う「柚餅子総本家 中浦屋」が、自身の専門である「Webマーケティング」「ECサイト企画・運用」ができる人を求めていることを知りました。

「私は石川県金沢市の出身です。以前から故郷に貢献したい気持ちもあったので、チャンスだと思いました。石川にはすばらしいものがたくさんあるのに、首都圏の人にはまだ知られていないものが多く、もどかしく感じていました。」(松岡さん)