はじめに

経験の幅を広げ、変化に適応できる人材になりたい

松岡さんは現在、次世代創造室の5人と中浦社長、そして輪島市のスタッフでオンラインミーティングを週1回2時間行っています。

それ以外にも、平日の1~2時間や休日のまとまった時間に、中浦屋の業務をオンラインで行います。コロナ禍で在宅勤務になり、通勤時間が削減できた分、副業にあてる時間を確保できているのです。

「100年以上もの歴史の重み。柚餅子(ゆべし)という伝統の味を守りつつ、『輪島プリン』『金澤ぷりん』など、革新へとチャレンジする姿勢がかっこいいと思いました。私たち5人のデジタルの知見を組み合わせることで、中浦屋の魅力的なストーリーを全国の人に知ってもらいたい。そんな貢献ができることにワクワクしています」(松岡さん)

松岡さんにとって、中浦屋での副業は、「故郷に貢献したい」という想いを叶えるほか、キャリア構築という側面で大きく2つのメリットがあるといいます。

1つ目は、興味を持っていた「ブランディング」をはじめ、自分とは異なる専門性を持つ他のメンバーから知見を得られること。2つ目はチームで行うプロジェクトの進め方のノウハウを得られることです。松岡さんの本業では単独で業務にあたることがほとんどのため、中浦屋次世代創造室のメンバーとのチームワークから、多くの学びを得ているといいます。

今後について、松岡さんは本業の会社を辞めるつもりはないそうです。大手企業にいれば、大規模な予算も投じるプロジェクトに携わることができます。大手企業だからこそできる経験も引き続き積みながら、中浦屋のように小規模でも魅力的な企業や商品を世の中に発信するお手伝いをしていきたいと話します。

「この先、社会がどう変わるかわからないし、自分のライフスタイルがどう変わるかもわかりません。幅広い経験を積むことで、変化が起きても適応できる自分になっておきたいと思います」(松岡さん)

2020 年の「ふるさと副業」イベントへの参加希望者数は 2018 年と比較して現在は約 9 倍以上に伸びています。

新型コロナウイルスの流行をきっかけに、人々の生活様式だけでなく価値観にも大きな影響を与えているようです。自分が本業で培ってきた経験やスキルを活かして地域への恩返しする新しい働き方のかたち、地方企業と首都圏人材との未来が広がっています。

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