はじめに

気品ある走りだけでなく

実は走り出す前、ボディが大きなこともあり、少しばかり気遣いが必要だと覚悟はしていたのですが、走り出した途端に大きさをあまり感じなくなったのです。これはベントレーでも感じたのですが、動き出すと小さく感じてストレスがなくなります。もちろん、狭い道路に入るとそれなりに気は遣うのですが、見切りが良くしっかりと運転は快適です。

これも当然のことかもしれません。このクルマをショーファードリブン(運転手付き)とした場合、ドライバーがいつも見切りの悪さにストレスを感じているようではいけないのです。運転のしやすさはロールス・ロイスが求める重要な性能なのでしょう。

メーター類も視認性が良く、ステアリングの操作スイッチも使いやすく配置

当初はナーバスになっていたのですが、これで少し気が楽になりました。さらに楽しくなったのは、「魔法の絨毯」とも形容されるフラットな独特の乗り味です。ロールス・ロイス伝統の極上の乗り心地。ドライブしていても存分にその気持ちよさを感じ取ることが出来ますが、もしリアシートでゆったりと寛いでいたら、どんな世界が広がるのでしょうか?残念ながら今回は一人ドライブ。観音開きのドアを開け、リアシートには座っていませんが、その快適性は容易に想像が出来ます。

ただ単に広いのではなく、リアシートも絶妙なフィット感で体を支えてくれます

この乗り心地はサスペンションの味つけとともに、新開発のプラットフォーム「アルミスペースフレームアーキテクチャー」を採用したことによるところが大きいでしょう。本当にふんわりとしつつも、揺れはすぐにスッと収まり、フラットになります。交差点のコーナーを抜けるにしても極上のフラット感を保ったまま、しとやかに抜けていくのです。

こんなクルマに乗っていると乱暴な運転など出来ませんし、もちろん似合いません。とにかく佇まいだけでなく、走りに気品が感じられます。これ見よがしの贅沢ではなく、品格や気品こそがこれからの高級車に求められる本質。ここに「ポスト・オピュレンス」のコンセプトが見えるように感じました。そんなことを考えながら走っていると、このクルマにずっと乗っていたくなるのです。テスト車とのわずかなデート、別れるのが久し振りに辛くなりました。これで価格は3,590万円。到底手は出ませんが、出来ることならコイツに乗れるような服装ぐらいは準備したいと思います。

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