はじめに

私学ならではの「面倒見の良さ」

自宅にあるデバイスの使用を求めた学校も、用意できない生徒には学校が貸与するといった対応をとっていました。こうした私学ならではの「面倒見のよさ」が、これまで中学受験を考えていなかった人たちにも、受験に向かうきっかけとなったケースもあるようです。

前述の調査からは、休校期間中のオンライン授業の取り組みをきっかけに、一斉登校開始後の授業でもICT活用が進んだことがわかりました。今回のコロナ対応によって学校はどう変わっていくのでしょうか。そして来年以降の中学入試はどう変わっていくと考えられるのでしょうか。

今年の入試に影響した3つのインパクト

<モリの目>(森上展安)

「モリの目タカの目」も今回が最終回とのこと。最後の数字である「6044人」は、首都圏随一の受験者数に象徴される中学受験の今後の行方について、中期展望を書きなさいということだろうと思います。

今年の入試は従来にはない3つほど大きなインパクトがあったのではないかと考えています。そうしたインパクトがあったからこそ、受験者数が思いのほか増加を示していると思うのです。

なぜなら「モリの目」としても当初、リーマンショック級の不況が直撃すると捉えて、家計に依存する中学受験は同時に需要が低下するのではないか、と考えられたからでした。(結果的にハズレました!)

しかし、コロナ禍で非常事態宣言が出され、学校が閉鎖されて局面が一変しました。すなわち公立小学校は閉鎖されたけれども、塾と私立中学はオンライン授業を導入し、授業を続けたことが第一のインパクトだったと思います。

繰り返し放送されたコロナ禍の入試風景

第二のインパクトとなったのは、様々なテレビ番組で取り上げられた首都圏最大規模の栄東の入試のあり様でした。これが徹底したコロナ対応入試で、三密対策がなされていたことです。

受験生を送迎する自家用車の駐車場になった運動場、ソーシャルディスタンス確保のため空席を作った教室、入試日を2日に分けて半減した受験者数――など、どれをとっても、なるほど私学はこうなのかと「絵になる」カットがくり返されました。

そして第三のインパクトは、止めを刺すように大学入試共通テストが16、17日に行われ、この入試改革最大の「正体」が姿をあらわにしたことです。

高大接続改革と称されながら改革の目玉は次々と消えていき、残ったのが指導要領改訂に伴う入試問題の変化でした。従ってこれを改革というわけにはいかないのですが、入試傾向の大幅な改変こそが大人にも子どもにもわかり易く映ったようです。

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