はじめに

悪い指標には反応しない?

確かに、広義のサービス業やレジャー関連の雇用者数を見ると、12月から大幅な改善を見せており、今後、ワクチン普及が進むことで、人々が外に出始め、消費活動が広がることへの期待が膨らむ指標内容です。

事業所調査ベースの非農業部門雇用者数変化は、直前市場予想中心値の前月比プラス10万5000人に対して、同4万9000人増でした。11、12月分のネット下方修正が合計でマイナス15万9000人でしたので、かなり悪く見えるはずです。でも、米株式指数は上昇しました。最近の傾向として、悪い米指標にはあまり反応しないというのは、米雇用統計に限った話ではなく、指標全般的に言えることかもしれません。

米1月失業率は予想よりもかなり改善

予想よりもかなり悪かった非農業部門就業者数への楽観的解釈もありましたが、加えて、家計調査ベースの失業率が大幅改善したことも、市場参加者の楽観を強めました。

失業率は事前予想の6.7%に対し6.3%と大幅に改善し、米雇用統計は悪くないという印象を市場参加者に与えたと思われます。また、平均時給も、前年比予想プラス5.0%に対して5.4%と予想より強い内容となったことで、ドル売りが続かなかったとも言えます。

この失業率の大幅な改善ですが、米労働省発表資料によると、家計調査ベースの失業者数が60万人強減少したことに加え、労働参加率が低下したことも要因と思われます。また、昨年12月21日に米上下両院で可決された追加経済対策法案の恩恵もあったでしょう。

いずれにしても、市場関係者の見方は、「見かけほど悪くない」、あるいは「ワクチン普及で今後はさらに改善」という解釈が大勢になっていたものと思われます。

大型追加経済刺激策への期待

「悪い米指標=大型追加経済対策実現の可能性」というのも、2月5日の市場では多く語られていました。実をいうと、米雇用統計発表同日のNY時間未明(日本時間19:15頃)、米上院が今会計年度予算の大枠となる予算決議案を可決していました。

この上院での可決を受けて、既に米国債利回りは米雇用統計発表前から上昇していて(米10年債利回り1.14%近辺→1.1859%)、ドル円も上昇していました。従って、米雇用統計の非農業部門雇用者数はポジション調整的な役割だけだったのかもしれません。何が飛び出してくるか分からない週末には、ポジションを軽くして帰宅するのが定石と考えている人もいるでしょう。

そしてその何が飛び出してくるか分からない週末の2月7日、イエレン米財務長官から、大型追加経済対策の必要性を訴える発言も出て来ています。

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