はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。
NISAの口座開設を検討しています。証券会社・銀行・ネット型・店舗型……と、さまざまな選択肢がありますが、どのように選べばいいのでしょうか? 株式に投資する予定はありません。株式以外の金融商品を運用する前提で非課税のメリットを受けやすい賢い運用法を教えてください。また、その場合はどのような会社に口座を開設するのがよいのかアドバイスいただけると幸いです。
(40代前半 既婚・子供1人 男性)
内藤: NISA口座については、証券会社や銀行が激しい獲得合戦を繰り広げていますが、税率はどこも同じです。そのため、ここで選択のポイントとなるのは「コスト」です。株式投資をする予定はないということですので、メインの投資商品は投資信託になるかと思います。
投資信託にかかる2つのコスト
投資信託の場合、販売手数料と信託報酬という2つのコストがかかります。販売手数料は購入時にかかるもので、投資信託を販売している証券会社や銀行の収益になるものです。
一方の信託報酬は、保有期間に応じて日割りでかかってくる管理料のようなもので、こちらは販売会社とファンドマネージャーが運用をしている運用会社、そして資産の管理をする管理会社、この3つの会社の収益になります。
販売手数料は販売会社によって異なる場合があります。一般的に対面型の金融機関の方が高くなる傾向にあり、ネット証券ではこの販売手数料がかからないノーロードの投資信託を積極的に販売しています。説明するスタッフの人件費がかからないので、その分コストを下げることができるのです。
販売手数料が3%であれば、投資信託を買った瞬間にリターンはマイナス3%になります。原則として販売手数料はできるだけ低いものを探すことが大切です。その点から、NISAの口座開設はネット証券にするのがよいと私は考えます。
対面型の金融機関であれば、担当者の説明を聞くことができますが、たとえば100万円の投資信託を販売手数料3%で購入すれば、説明料が3万円ということになります。
そのコストを払うのであれば、資産運用にくわしいファイナンシャルプランナーに有料で相談する方が大きなメリットを得られるでしょう。1時間1万円程度で客観的な立場から相談に乗ってくれます。
初心者はインデックスから
投資信託のもうひとつのコスト、信託報酬についても購入前に確認しておきましょう。
資産運用の方法には市場の平均を狙うインデックス運用と、市場の平均より高いリターンを狙うアクティブ運用があります。
投資信託にも、インデックスファンドとアクティブファンドがありますが、インデックスファンドの方が信託報酬は低くなる傾向があります。ファンド選びがよくわからないという人は、まずはインデックスファンドを使って資産運用をはじめるのがよいでしょう。
NISAで投資信託を使った資産運用をはじめるのであれば、ネット証券に口座開設し、コストの低いノーロードのインデックスファンドを中心に商品選択する。これが基本です。
1年で0.5%の差であっても10年では5%になります。資産運用の基本はまずコストを下げることにあります。小さなコストの差が将来の大きな“格差”となってくるのです。