はじめに
原価がわかると何が変わる?
では、原価のしくみがわかると、どんなメリットがあるのでしょうか。これまで気づかなかったことがみえるようになり、たとえば、次のような可能性が生まれます。
①間違いのない値決めや値引きができる
モノの値段というのは、簡単にいえば、原価に売る側が期待する利益を乗せたものです。原価がわかれば間違いのない、利益が出る価格設定ができます。また、営業の現場などでは、どこまで値引きしても大丈夫か、利益が出るか、きちんと判断することが可能です。
②上手なコストダウンができる
原価は、ひとかたまりのものではなく、いくつかの要素の組み合わせです。原価の中身がわかると、「どの要素の原価低減が可能か」「どこをコストダウンすれば効果的か」などが、わかるようになります。行き当たりばったりではなく、効果的で上手なコストダウンができるようになるわけです。
③ビジネスで「儲かる」しくみをつくれる
間違いのない値決めや値引きができて、上手なコストダウンができれば、あとは売上を上げるだけです。売上を上げるのも簡単ではありませんが、原価を正しくとらえていれば、結果はしっかりついてきます。つまり、売上が上がるほど、利益が順調に増えるという、ビジネスで「儲かる」しくみがつくれるのです。
④いろいろなビジネスのしくみをスッキリ理解できる
よくいわれる「大量生産のメリット」などは、原価がわかるとスッキリ理解できます。知らない人には、わかりやすく説明してあげることもできるでしょう。また、原価のしくみを紐解くことで自分の人件費のしくみなどもわかり、コスト意識を持って会社の利益に貢献することができるようになります。
「原価」と聞くと、何やら難しい数字や計算式を操って、面倒な集計をいろいろと重ねているイメージがあるかもしれませんが、大切なのは「どんな考え方をしているのか」「どう上手に管理するのか」ということなのです。
著者プロフィール:梅田 泰宏(うめだ やすひろ)
1954年東京生まれ。公認会計士・税理士。中央大学商学部卒業。監査法人中央会計事務所(現・みすず監査法人)を経て1983年梅田公認会計事務所を設立。2004年社会保険労務士、司法書士との合同事務所「キャッスルロック・パートナーズ」を設立。現在、約250社に及ぶ様々な業種の中堅・中小企業並びに外資系現地法人に対し、財務指導から税務業務まで幅広くサポートしている。知らないとヤバい「原価」と「黒字」の法則 梅田泰宏 著
原価のことがわかれば黒字になるしくみもわかる! 原価にドシロウトの若手社員が、経理部長、製造部長、工場長などに「会社のコスト」を根ほり葉ほり聞き出すストーリー形式で「原価のからくり」を解説。読んだその日からコスト意識が身につく1冊。