はじめに
口座を「毎月用」と「一時支出用」に分けてみる
毎月の手取り収入75万円に対して、支出の目安は43万円。この数字通りなら月32万円が貯蓄に回って、年間では384万円の貯蓄が実現するはずですが、そうはなっていないということですね。
年収は高いけれど、気になるのが、ボーナスがないことです。毎月、決まっている支出は給料から、突発的な支出や年に数回の支出はボーナスから出すという使い分けをしている世帯は多いと思います。相談内容に「昨年は一時的な出費も多く、実は思ったほどの貯金に繋がりませんでした」とあります。家計には、このような不意の出費がつきものです。
手取り収入を、毎月の支出用と、一時的な支出用に分けてみてはどうでしょうか? 毎月の手取りのうち10万円は、一時的な支出用に別の口座などにプールします。年間では120万円。一時的な支出は年間120万円までと決めて、この口座から出します。一方、毎月の支出は残りの65万円から、実際に使うのは目安としている43万円まで。そうすると、現在の毎月の貯蓄額22万円をちょうど貯蓄に回せます。毎月22万円貯めると1年では264万円。手取りの世帯年収900万円に対して29.3%。約3割です。まだ子どもがいないので、これくらいは最低限貯めたいところ。
自炊が苦手ならミールキットなどで工夫を
ここからさらにスリム化していくには、毎月の支出の内訳をひとつずつ見直していくことになりますが、少し意識を変えるだけで、劇的に変化するはずです。というのは、もともと使っているお金が多いからです。
食費についてあれこれ記載されているのは、食費が高過ぎることにうすうす気が付いているからでは? 最も安く済むのは自炊、高いのは外食、その中間は、お惣菜を買ったり、材料が揃ったミールキットを使ったりすることです。そして、外食に相当するか、もっと高くなりがちなのが、コロナ禍で一気に需要が増えたフードデリバリーです。配達の手数料がかかるためです。自炊は好きではないとのことですので、無理にする必要はありませんが、外食やフードデリバリーの代わりにミールキットを使う回数を増やすだけでも、支出はかなり減るはずです。どういう行動が支出増につながっているかを把握した上で、無理をするのではなく、冷静に選択してください。
支出の「その他」の9万5,000円のうち半分が外食代ということは、食費の12万円を合わせると16万7,500円にもなります。まずは食費を合理的に使うことができるようになれば、他の支出もおのずとスリム化できるでしょう。
一時的な支出の予算を120万円から100万円や80万円などに減らし、差額を貯蓄に回すことも検討したいですね。
これから先のことも見据えて
まだ20代と若いので、退職とか老後と言われてもピンとこないかもしれませんが、勤務先の退職給付についても確認しておきましょう。新しいIT系の企業は、給与体系や退職給付制度が従来とは異なるケースもあります。目の前の収入は多いけど、ボーナスがない、退職給付が少ないとすれば、自分自身がしっかりしてお金の管理をすることがより重要になります。充分な収入があるのですから、これを上手に生かせるかどうかは、2人の行動しだいです。
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