はじめに

年金からは所得税や社会保険料が差し引かれる

そもそも老齢年金は、雑所得として扱われることになり、所得税が課税される決まりになっています。ただ、無条件に課税されるのではなく、一定額以上の年金収入がある場合は、そこから源泉徴収されることになります。なお、2013年1月1日から2038年12月31日までは、所得とともに復興特別所得税も徴収されることになっています。

源泉徴収の対象となる収入は年齢によって違いがあります。65歳未満の場合は、その年の年金収入額が108万円以上。65歳以上の場合は、その年の年金収入額が158万円以上あると課税されます。これ以上の収入がある場合であっても、「扶養親族等申告書」を提出しているときには、独身者で65歳未満なら年金月額9万円まで、65歳以上のときには、年金月額13万5,000円までなら所得税および復興特別所得税は徴収されないことになっています。

そのほかにも社会保険料として、介護保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療制度の保険料、住民税が徴収されます。

「普通徴収」と「特別徴収」、どちらに該当するのか確認を

徴収方法には年金から徴収する特別徴収と直接、納付書で支払う普通徴収の2種類があります。特別徴収となるのは、65歳以上(国民健康保険料はかつ75歳未満)であり、特別徴収対象年の年金収入額が年額18万円以上である場合です。

とはいえ、介護保険料と国民健康保険料の合計額や、介護保険料と後期高齢者医療制度の保険料の合計額が金受給額の2分の1を超える場合は、納付書が送られてくる普通徴収となります。

まず、自分はどうなるのか、受給開始前に市区町村等で確認しておくと安心です。

収入を増やすことを考えてみましょう

ここまで読んできて、必ず支払わなければならない社会保険料等の種類が多く、ガッカリしているかもしれませんね。社会情勢は刻々と変化をしていますが、このような徴収がなくなることは考えられません。そのためには、将来の収入を増やすことを考えてみてはいかがでしょうか?

すでに、年金の繰り下げ受給のシミュレーションを行っているとのこと。素晴らしいですね。良い視点だと思います。その他の方法としては、働いて収入を得るという方法があります。

介護をしているため働いていないとのことですが、お母様をどのように介護されているのでしょうか? もし、ごきょうだいがいるのなら、介護を手伝って貰って働く時間を捻出することができますし、手伝って貰えない場合には、金銭的な援助を仰いでも良いでしょう。

お母様のケアプランの見直しをする

頼れるごきょうだいがいらっしゃらない場合には、担当のケアマネージャーさんに働きたいという気持ちを伝え、ケアプランを見直してもらい、働く時間を捻出できないか相談してみてください。

ケアプランというと、「介護される人が優先」というイメージを抱く人が多いのですが、介護する人の負担を軽減するという意味もあります。現在、相談者様と同じような悩みを抱えていらっしゃる方は少なくありません。何らかのアイディアや対策を提案してくれるはずです。

働き方を考えてみましょう

いくらケアプランが見直されたからと言っても、昔のように働くことは難しいと思います。スキマ時間で働ける仕事はないか、パートやアルバイトを専門とした求人サイトや地元の情報誌で求人情報を確認してみてください。

また、今はオンラインを活用したビジネスなどに取り組む人も少なくありませんし、在宅で電話を受ける仕事等、出かけなくても収入を得る手立てはあります。ちょっと目先を変えて、仕事を探してみてはいかがでしょうか?

私自身、20代で介護離職をした経験があり、仕事ができないつらさや不安は、多少なりとも理解できているのではないかと思っています。お母様の介護をすることは立派なことなのですが、是非、相談者様ご自身の幸せについて考えて欲しいと思います。まだ60歳です。介護があるからとあきらめるのではなく、できることを考えてください。

介護では、手を抜くことも必要です。無理することなく、頼れる人には頼りながら取り組むことが大切です。くれぐれも、無理は禁物ですよ!

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