はじめに
銅先物価格は史上最高値に迫る動き
一方、銅は熱や電気をよく通すことから電線などのインフラ投資に加え、電子部品の素材としてIT(情報技術)関連にも使われています。
銅価格の代表的な指標である英国のLME(ロンドン金属取引所)の3ヶ月先物価格を見ると、昨年1月の6,300ドル台/トンから同年3月には4,700ドル台/トンまで下落しました。
しかしその後は上げに転じ、今年2月には9,400ドル台/トンまで急回復しています。新型コロナ感染拡大前の水準を大幅に上回り、2011年2月14日に付けた終値ベースの史上最高値1万160ドル/トンに迫る動きとなっています。
世界的な脱炭素社会への転換で銅需要は急拡大へ
銅価格が急回復した背景には、世界の銅需要の約5割を占める中国景気が堅調に推移していることや、コロナ禍でチリ、ペルーなど中南米に集中する銅鉱山の操業が不安定となったこと、また、米国のバイデン政権発足により加速した脱炭素の潮流のもとで銅需要の増加期待が高まっていることや、世界的な金融緩和の長期化見通しで投機資金が流入していることがあります。
地球温暖化の原因となる二酸化炭素を削減する、脱炭素化は世界的な動きであり、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの太陽光発電や風力発電の普及が急速に進むとみられます。EVはガソリン車に比べて配線などに4倍近くの銅を使うほか、太陽光パネルや風力発電では、石炭や原油を使う化石燃料発電よりも5倍程度の銅が必要となります。
このため銅需要は急拡大が見込まれることから、LME3ヶ月先物の銅価格は史上最高値を抜く展開が想定されます。